上大静脈症候群をきたした53歳,男性の1例を報告した.平成3年9月初旬頃より顔面から鎖骨上窩にかけて淡い潮紅を伴うびまん性の浮腫性腫脹と頸部の絞扼感が出現した.上大静脈症候群を疑い精査したところ胸部単純写真にて,右上肺野に直径2cm大のcoin lesionを認めた.また胸部CTで右縦隔リンパ節腫大,前縦隔にlow density areaを認め,上大静脈造影では左右腕頭静脈合流部の閉塞を認め,肺癌のリンパ節転移による上大静脈症候群と診断した.治療として,6週間にわたる60Coの分割照射と静脈拡張術を行い症状は著明に軽快した.