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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科47巻11号

1993年10月発行

症例報告

ステロイド投与で誘発されたと考えられる壊疱性丘疹状結核疹の1例

著者: 佐瀬裕1 山崎啓二1 星智2

所属機関: 1竹田綜合病院皮膚科 2竹田綜合病院内科

ページ範囲:P.997 - P.999

文献概要

 17歳,女性.9歳から進行性全身性硬化症(PSS)として治療を受けていた.PSSの増悪に対して少量のステロイドを投与され,その約20日後から四肢に皮疹を生じた.皮疹は一部に痂皮を伴う膿胞および丘疹であった.生検では真皮上層に結核様肉芽腫を認めた.その後肺炎の症状が出現したが喀痰からは結核菌は証明されなかった.しかし結核疹があったため行われた胃液培養で結核菌陽性となり,肺結核として抗結核剤の投与を受け軽快した.自験例ではステロイド投与により発症した肺結核の先行症状として壊疽性丘疹状結核疹が生じたものと推測される.ステロイド投与により不顕性の結核が増悪し顕性化することは知られているが,結核アレルギーによるとされる結核疹がステロイド使用により生じるのはまれである.患者数の減少とともにあまり注意されなくなってきている現在でも,結核はステロイド使用時には忘れてはならない疾患と考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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