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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科47巻2号

1993年02月発行

雑誌目次

カラーアトラス

肥大性皮膚骨膜症

著者: 石井清英 ,   山田裕道

ページ範囲:P.118 - P.119

 患者 36歳,男性
 初診 平成3年4月5日
 家族歴 家族内に同症はみられない.
 既往歴 特記すべきことなし.
 現病歴 幼少時より友人と比較して爪が大きかったという記憶がある.26歳頃より弯曲のある大きな爪と手指末節の肥大が目立つようになり,今回精査目的にて当科を受診した.
 初診時現症 すべての指趾で先端をまるく包み込むような爪甲の蛮曲(時計皿爪)(図1)および指のばち状肥大を認める.爪甲のチアノーゼは認めない.前額(図2)と下顎には深い雛壁と皮膚の肥厚が認められ,苦悶状顔貌を呈する.頭部の脳回転状皮膚は認められない.

総説

Rheumatoid Vasculitisの皮膚症状

著者: 檜垣祐子

ページ範囲:P.121 - P.125

 Rheumatoid vasculitisの皮膚症状につき概説した.Rheumatoid vasculitisでは皮膚症状を呈する頻度が高く,またその診断的価値も高い.その中では指趾梗塞,皮膚潰瘍,リウマトイド結節などがしばしば見られる.これらの皮膚症状を見た際には,全身的な血管炎の有無を検索する必要がある.

原著

Bullous Lichen Planus

著者: 川名誠司 ,   田沼弘之

ページ範囲:P.127 - P.132

 Bullous lichen planus自験4例の臨床所見,病理組織学的所見を報告した.臨床的には,1)全身皮膚,特に四肢末梢関節部,手掌,指に,周囲に暗赤色ないし紫紅色斑を認める小水疱ないし大型の緊満性水疱が多発し,治癒後,褐色色素斑や瘢痕を残す,2)しばしば口蓋,舌に水疱,糜爛,潰瘍を認め,頬粘膜に扁平苔癬本来の白色角化局面を認める,3)病理組織学的に苔癬型組織反応と表皮下水疱を認めることが特徴と考えられる.診断には直接,間接免疫蛍光法で抗基底膜部抗体が陰性であることを確認する必要がある.免疫組織化学所見は通常の扁平苔癬の所見と一致し,苔癬型組織反応による表皮基底層の傷害の結果,真皮表皮間の接合が傷害され,水疱が形成されることを示唆した.治療として,ステロイド全身投与の無効例にDDSが有効であったのが注目された.

急性汎発性発疹性膿疱症

著者: 馬場貴子 ,   三橋善比古 ,   橋本功

ページ範囲:P.133 - P.137

 31歳,男性.下痢とともに悪寒,発熱および全身の関節痛出現翌日から抗生剤点滴による治療を受けた.治療開始2日後,ほぼ全身に瀰漫性の潮紅と小膿疱の出現をみた.皮疹は急速に治癒傾向を示し,11日目には落屑を残すのみとなった.膿疱は無菌性で組織学的に角層内に位置していた.臨床検査で白血球増加,CRP増加,軽度の肝機能異常を認めた.皮疹出現前に使用した薬剤の貼布試験,皮内試験およびリンパ球刺激試験(DLST)は陰性であった.自験例は,最近報告されたacute general—ized exanthematous pustulosis(AGEP,急性汎発性発疹性膿疱症)に一致するものと考えた.既知の膿疱症との鑑別点およびAGEPの疾患概念について考察した.

小児に発症した硬化性萎縮性苔癬

著者: 清島真理子 ,   柳原誠 ,   森俊二

ページ範囲:P.139 - P.142

 小児に発症した3例の硬化性萎縮性苔癬(LSAと略す)を報告した.第1例は9歳,女児.約3年前より左腋窩に陥凹した淡い褐色の色素沈着があり,その後拡大し60×30mmの大きさとなった.第2例は5歳,男児.約6カ月前より左耳介後部に拇指頭大のやや光沢を伴い,脱色素斑を混じた色素沈着が見られた.第3例は12歳,女児.3〜4年前より右頸部に毛細血管拡張と色素脱失を伴う,拇指頭大の色素沈着が見られた.病理組織所見は3例とも,表皮直下の真皮上層は浮腫性で,淡く好酸性に染色された層があり,弾性線維が著明に減少していた.真皮中層〜下層には膠原線維の増生と小円形細胞浸潤がみられた.本邦皮膚科領域で報告のあった,自験例を含めて9例の小児に発症したLSAについて検討したところ,全例が外陰部以外の部位に発症し,9例中7例が女児であった.

連載 元気な皮膚科医であるために・1【新連載】

皮膚(表皮)は癌でさえ排除する

著者: 今山修平

ページ範囲:P.132 - P.132

 体のどこかに癌ができたなら手術により可及的すみやかに排除するのが安心である.もしも宿主自らの力で癌を排除できるならそれが最も確実な抗腫瘍作用といえるだろう.
 私たちの体表面を境する表皮は日々角質となっては脱落するという過程を繰り返す組織である.もし個々の腫瘍細胞を表皮の角化(脱落)機転に取り込むことができれば,その過程に乗せることにより,有害な細胞(もちろん物質をも含めて)を体外に排除できるはずである.皮表は平均的な日本人で畳一枚の広さがある.しかも表皮真皮接合部には著明な凹凸があることから表皮側から見た面積はその数倍に相当するだろう.広大な表皮からの継続的な癌細胞排除は,もし可能ならば,腫瘍細胞の絶対数の減少をもたらすに違いない.

臨床統計

水疱性類天疱瘡の統計的考察—横浜市立大学皮膚科13年間の観察

著者: 金井塚生世 ,   杉田泰之 ,   長谷哲男 ,   中嶋弘

ページ範囲:P.145 - P.148

 昭和53年1月より平成3年6月までの13年間における当科の水疱性類天疱瘡(bullous pemphigoid:BP)患者は男17例,女26例の計43例で,平均発症年齢は男72歳,女68.5歳,全体では71.5歳であった.初診時検査所見では白血球増多が43例中13例に,好酸球増多が25例に認められ,難治例ほど好酸球増多の傾向にあった.血清IgE高値は23例中19例に認められた.血清総蛋白量は43例中17例が低下し,血清albumin値は43例中23例が低下しており,難治例ほどalbumin値の低下傾向が認められた.蛍光抗体法の陽性率は直接法で80.6%,間接法では50%であった.また,51.2%のBP患者が合併症を有しており,悪性腫瘍の合併率は11.6%であった.治療は副腎皮質ステロイド単独内服が69.8%と最も多かった.他施設に比し当科では免疫抑制剤の併用よりも副腎皮質ステロイドにDDS(4,4'-diaminodiphenyl sulphone)を併用した例やDDS単独内服などDDSを用いた例が多かった.

今月の症例

いわゆる遠心性環状紅斑の形をとつた汎発型環状弾力線維融解性巨細胞肉芽腫の1例

著者: 三浦隆 ,   斎藤明 ,   高橋法子

ページ範囲:P.149 - P.152

 肝炎に罹患している73歳女性に発症した汎発型環状弾力線維融解性巨細胞肉芽腫(annular elastolytic giant cell granuloma)の1例を報告した.皮疹は汎発性環状紅斑で,躯幹を主に環状の紅斑が多発かつ互いに融合し連圏状となり,約2年の経過中さらに遠心性に拡大しながら消失した.この臨床像はいわゆる遠心性環状紅斑のそれに一致した所見であった.

症例報告

表皮下水疱を伴った限局性強皮症の2例

著者: 延藤俊子 ,   武田孝爾 ,   籏持淳 ,   植木宏明

ページ範囲:P.155 - P.158

 症例1;71歳,女性.70歳頃より左乳房下縁の皮下硬結に気づき徐々に拡大した.来院時,同部に帯状の硬化局面を認め,正中線付近の硬化部位に弛緩性水疱を伴っていた.組織学的に,真皮上層の著明な浮腫と表皮下水疱,真皮全層にわたる膠原線維の肥厚を認めた.また電顕では水疱はbasal laminaより真皮側に見られた.症例2;59歳,女性.58歳頃より左頬部に母指爪甲大の褐色硬化局面があり,組織学的に表皮下水疱と,真皮全層にわたる膠原線維の膨化,均質化を認め,組織学的に表皮下水疱を伴った限局性強皮症と診断した.

Acquired Reactive Perforating Collagenosisの2例

著者: 山本美保 ,   花田二郎 ,   川村邦子 ,   上田宏一 ,   堀越貴志 ,   杉山貞夫 ,   高橋誠 ,   及川修

ページ範囲:P.159 - P.162

要約 今回,我々はacquired reactive perforating collagenosis(反応性穿孔性膠原線維症,以下ARPCと略す)の2例を経験した.症例1,75歳男性.10年前より糖尿病の既往あり.ほぼ全身に瘙痒を伴う角化性丘疹を認めた.症例2,45歳女性.四肢および体幹に,中心部に痂皮を付着する赤色丘疹が散在.糖尿病および腎疾患の既往なく,臨床検査的にも異常を認めなかった.2症例とも家族に同症状を認めなかった.組織学的に同疾患と確認.今回は,この2症例を報告するとともに,RPCに関する過去の報告につき文献的考察を行った.

Elastophagiaのみられた環状肉芽腫の2例

著者: 高橋正明 ,   石館卓三 ,   下山則彦 ,   高木順之 ,   岩谷麻子 ,   佐藤俊

ページ範囲:P.163 - P.166

 症例1は50歳,男性.右手背に単発する環状肉芽腫.症例2は62歳,女性.経口血糖降下剤を服用中の糖尿病があり,頸項部,躯幹,上肢に多発する汎発型環状肉芽腫.2例とも組織像で,肉芽腫病巣の周辺部に多核巨細胞による弾力線維貪食像が認められた.弾力線維の変化は従来,annular elastolytic giant cell granulomaに特徴的とされてきたが,最近ではelastophagiaを示す環状肉芽腫の報告が相次いでおり,自験2例も同様の組織学的所見を示した症例であった.さらに,自験2例はいずれも露出部位の生検であり,環状肉芽腫でみられる弾力線維の一連の変化と紫外線照射との関連性の検討が必要と考えられた.

下腿結節性肉芽腫性毛包周囲炎(Wilson)の1例

著者: 宮川晴子 ,   堀沢明子 ,   松本義也 ,   安江隆 ,   北村清隆 ,   福代良一

ページ範囲:P.167 - P.170

 患者は57歳の女性.特別な基礎疾患はない.下腿剃毛の習慣はなく,そこに外傷の既往もない.初診の3カ月前から左下腿に紅色丘疹や膿疱の集まりが環状または集簇性に生じた.病理組織的検査によると,真皮深層の肉芽腫性病変内に多核白血球からなる小膿瘍の形成があり,小膿瘍の中心に胞子形菌要素の集塊がみられ,集塊の辺縁に星芒状等質物の囲みが認められた.生検組織片からTrichophyton rubrumが分離培養された.下腿結節性肉芽腫性毛包周囲炎(Wilson)と診断し,フルコナゾール内服と抗真菌剤外用を行い,約2カ月半で病変は消失した.その後14カ月,再発はみられていない.

壊死性筋膜炎の1例

著者: 佐藤茂樹 ,   原知子 ,   奥本勇二 ,   森保 ,   中村浩二 ,   山本昇壯 ,   藤岡康博 ,   岡林清司 ,   大谷美奈子

ページ範囲:P.171 - P.175

 39歳,男性.病変部が全身の約30%に及んだ壊死性筋膜炎の1例を報告した.咽頭痛,発熱を前駆症状とし背部に疼痛を伴う発赤腫脹が出現し,急速に腰部,臀部,右大腿部に拡大し皮膚壊死となった.壊死組織,皮膚滲出液よりStreptococcuspyogenesが分離同定され,A群溶連菌を原因菌とする壊死性筋膜炎と診断した.DIC,急性腎不全,肝機能障害および貧血の合併がみられたが,入院4日目に初回デブリードマンを行うとともに,抗生剤投与,輸液および血液透析などの治療により全身状態も改善した.また合計5回のデブリードマン,遊離植皮術により創面を閉鎖した.現在,患者は社会復帰しており経過良好である.

非イオン性ヨード造影剤Iopamidolによる薬疹の1例

著者: 永田茂樹 ,   飯島正文 ,   秋山正基 ,   安木良博 ,   藤澤龍一

ページ範囲:P.177 - P.180

 Iopamidolによる薬疹の1例を報告した.Iopamidolによる感作例は,本邦第2例目である.経過は従来の非イオン性ヨード造影剤iohexolによる薬疹の報告例と同様であった.本例はパッチテストにてiohexol, iopamidolともに陽性であったが,iohexol感作は,iopamidol感作による交叉感作である可能性を考えたい.自験例ではCT検査の必要性からiopamidolに既感作であることは承知のうえでiopamidolを再度使用したが,検査終了後のステロイド投与により薬疹の経過が非常に軽微に終始して,ことなきを得た.

皮膚骨腫を伴った偽性偽性副甲状腺機能低下症の1例

著者: 米田和史 ,   森俊二 ,   兼松勲 ,   平泉泰久 ,   近藤富雄

ページ範囲:P.181 - P.184

 症例は3歳の女児,家族歴に同症なし.生後3カ月頃左膝に米粒大の硬結,1歳頃より右大腿,右前腕,左手背,および左足背にも同様の非常に硬い硬結が生じた.生検にて真皮から皮下にかけて不整形の好酸性の骨組織が認められ,その中にosteocyte,周辺にはosteoblastを認めた.左小指の中手骨の短縮によるAlbright徴候あり,X線検査でも左中手骨短縮を認めた.低身長,肥満や円形顔貌はなし.検査所見で,血清Caは9.6mg/dl,Pは6.0mg/dl,副甲状腺ホルモンは正常値,染色体は46XXと正常.Ellsworth-Howard testにて尿中リン,c-AMPの排泄ともに正常反応を示した.以上より皮膚骨腫を伴った偽性偽性副甲状腺機能低下症と診断した.

再発がみられたKeratoacanthomaの1例

著者: 石倉多美子

ページ範囲:P.185 - P.187

 84歳の女性の右頬に1カ月前に生じた,定型的な臨床像を示すkerato—acanthomaを切除した.組織像も定型的であった.1カ月後,切除瘢痕の一部に類似の小腫瘤が再発した.これを切除,組織像はやはりkeratoacanthomaに典型的であった.わが国で過去10年間に発表されたkeratoacanthoma再発例について若干の考察を加えた.

皮膚転移を伴ったエックリン汗器官癌の1例

著者: 藤田裕介 ,   近藤滋夫 ,   藤岡彰 ,   鈴木裕介 ,   衛藤光

ページ範囲:P.189 - P.192

 75歳,男.5年来右下腿にびらんを認め,その後潰瘍化し有棘細胞癌の診断の下に手術を行った症例を経験した.1年4カ月後に下腹部,右鼠径,右大腿に転移をきたした.転移巣は組織像,免疫組織学的所見よりエックリン真皮内汗管から分泌部の性格を有していると考えられた.初診時の組織所見も一部管腔様の部分があり,CEA,S−100などの免疫組織所見は陰性であったが,エックリン汗器官癌の性格をもつことが考えられた.以上より,皮膚から皮膚への転移をきたした稀なエックリン汗器官癌と考え,自験例を中心に文献的考察を行った.

古典型菌状息肉症様の臨床像,臨床経過を呈した皮膚型成人T細胞白血病リンパ腫の1例

著者: 清原明 ,   小川秀興 ,   矢口均 ,   岩原邦夫 ,   種田明生 ,   石和久

ページ範囲:P.193 - P.196

 最近我々は,皮膚型成人T細胞白血病リンパ腫(adult T cell leukemia/lymphoma;ATLL)の1例を経験した.全経過は25年で,紅斑期12年,扁平浸潤期6年,腫瘍期7年であった.病理像では,epidermotropism, Pautrier微小膿瘍が認められ,免疫組織化学的所見としては,CD3(+),CD4(+),CD8(−)を示した.電顕所見では,convoluted nucleiが特徴的で,NCIは腫瘍期においては,8.62を示した.これら臨床像・臨床経過,病理・免疫組織学的所見,電顕所見などはすべて古典型菌状息肉症を思わせるものであった.しかし,ATLA抗体陽性で,腫瘍中にHTLV−1proviral DNAのmonoclonal integrationを認めたことから,本症を最終的には皮膚型ATLLと診断した.各種治療法・薬剤を用いたが,なかでもインターフェロン—αの全身投与が見るべき効果を発揮した.

口腔内に生じたVerrucous Carcinomaの3例

著者: 久保仁美 ,   松本和彦 ,   羽生田久美子 ,   池川修一 ,   斎田俊明 ,   伊藤隆

ページ範囲:P.197 - P.201

 高齢男性の口腔内から口角部に発症したverrucous carcinoma(VC)の3例を報告した.いずれも,表面が浸軟した乳頭腫状ないし疣贅様の角化性結節としてみられ,組織学的には,上皮の棍棒状の肥大,延長からなる病変であり,その構成細胞の主体は異型性に乏しい有棘細胞様細胞であるが,辺縁部には多少の核異型を示す基底細胞様細胞が認められた.胞巣の境界は明瞭で,基底層はよく保たれていた.口腔内のVCの発症誘因として,喫煙や義歯による機械的刺激の関与が従来より注目されているが,自験3例でもこれらの因子の関与が推測された.VCの発生病因論や生物学的悪性度および通常の有棘細胞癌との異同などについて考察するとともに,本症の治療法の選択に関しても検討を加えた.

治療

PUVA療法が奏効した汎発性環状肉芽腫の1例

著者: 平川佳代子 ,   塩原哲夫 ,   長島正治

ページ範囲:P.203 - P.206

 68歳,男性.約10年前より側腹部に自覚症状を欠く皮疹が出現し徐々に増加,遠心性拡大を認めた.臨床および病理組織所見より汎発性環状肉芽腫と診断した.また,75gOGTTでは境界型糖尿病パターンを示した.皮疹はステロイド外用に反応せず,生検後自然消退傾向も認められなかった.外用PUVA療法を行ったところ,ステロイド外用のみのコントロール部と比較し著明な効果を認めた.しかも,内服PUVA療法を行った海外報告例に比べ,1/10以下の照射線量にて著効を認めた.

印象記

“Fifth Immunodermatology Symposium”印象記

著者: 井階幸一

ページ範囲:P.208 - P.210

 第5回ImmunodermatologySymposiumは1992年8月20〜22日にハンガリー共和国のSzeged(セゲド)市において開催された.セゲド市はハンガリーの首都ブダペストの南南東約160kmに位置する人口約19万人の都市である.セゲドといっても御存知の方はまずいないと思うが,地図を開くと,ちょうどルーマニアとユーゴスラビア(現在はセルビア)とハンガリーの3国が,互いに国境を接する地点に位置することが分かる.ルーマニアの国境を越えると数年前のルーマニア革命の際,大虐殺で有名になったティミショアラもすぐである.また,ユーゴ国境を越えると,果てしなく内戦が続いている.ときに砲声が聞こえることもあるというが,セゲド自体は,静かで落ち着いた中欧の都市である.
 本学会はブダペストで開催された第8回国際免疫学会のサテライトシンポジウムの一つであり,European ImmunodermatologySocietyが母体となり,セゲドにあるアルバート・セントジョルジ医科大学の皮膚科主任AttilaDobozy教授が会頭である.学会場は,市内のDeak Ferenc Gram—mar Schoolで,教育講演3題,一般演題31題,ポスター38題が1つの会場で行われた.約150名が参加したが,日本からは,京都大学から私と古川福実講師,横浜市立大学の池澤善郎助教授および資生堂の研究グループの8名余りであった.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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