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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科47巻3号

1993年03月発行

文献概要

症例報告

特異な臨床像を呈したエックリン汗孔腫の1例

著者: 瀧澤好廣1 松本祥代1 石原洋子1 池川修一1 斎田俊明1

所属機関: 1信州大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.283 - P.286

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 63歳,女性.約20年前,右側頭部に小皮疹が生じ,徐々に増大.大きさ19×19×4mmの瓢箪型の表面平滑な結節で,その下半部は淡紅色だが,上半部の辺縁は黒色を呈し,臨床的には基底細胞癌が疑われた.組織学的にはほぼ典型的なエックリン汗孔腫であったが,臨床的に黒色を呈する部分ではメラノサイトの共棲が認められ,メラニンの豊富な沈着を伴っていた.本邦におけるエックリン汗孔腫とエックリン汗孔上皮腫の報告例290例について文献的に検索したところ,組織学的にメラニンが認められた症例は約25%であった.白人の本腫瘍は臨床的に黒色を呈することはほとんどなく,組織学的にもメラニン沈着の認められることは,ごく稀とされている.しかし,白人の本腫瘍でも,メラノサイトは共棲しているが,メラニン産生能が低いために,黒色を呈さないという可能性も考えられる.また,本邦でエックリン汗孔上皮腫と診断されている腫瘍の本体についても考察を加えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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