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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科47巻4号

1993年04月発行

連載 元気な皮膚科医であるために・2

皮膚のフラクタル性

著者: 今山修平1

所属機関: 1九州大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.359 - P.359

文献概要

 前回(2号)から「元気な皮膚科医であるために」と錠打って随筆のようなものを書きつけておりますのは,内科や外科という圧倒的な医学会のガリバーに押し潰されないためであります.医学会における各科の地位は,おそらく取り扱う臓器の,生命に対する重要性を反映しておのずと決まったものでありましょう.心臓や循環器系の専門医が非常に高い地位を占めてきたのは,心臓が止まれば死んでしまうという明解な事実に裏付けられているからでしょう.ところが欧米ではこの辺りの事情は一寸違います.西洋では歴史的に,精神の働きの具現したものとしての人が重要ですから,その総本山である大脳(中枢神経系を含む)には特別な重みが置かれています(だからこそ脳死が個体の死として容易に受け入れられるのでしょう).したがって脳神経の専門医および研究者の地位はとても高い.ホルマリン潰けの大脳や,ロボコップのような仕掛けが映画によく登場するのも,そのような背景が判っていると理解しやすいでしょう.このように人の臓器の重要度を測る尺度は地域によって異なり,したがって医師の地位も国ごとに微妙に違います.
 そこへいくと皮膚は旗色が悪い.皮膚に関しては洋の東西を問わず,皮相,皮一枚,うわべ,化けの皮などなど,まるでそれを取り去ることによって初めて真実が現れる,みたいな言いまわしが好んで用いられます.そんな怪しげなものを専門に扱う医師の評価が世間に高かろうはずがなく,逆に表面をとり繕う者としては時には卑しまれかねません.本邦の美容外科がなかなか正当な地位を勝ち得ないのもそうした事情があるからに相違ない.そこで,およばずながらも皮膚の重要性を実証して元気になりたいな,と考えたのが連載のタイトルの意味であります.で,今回はフラクタルの話です.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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