文献詳細
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1993
I 最近話題の疾患
文献概要
1987年以降,足底表皮嚢腫とヒト乳頭腫ウイルス(HPV)との関連を示す報告が相次いで認められ,HPV60型が検出されている.嚢腫形成におけるHPVの役割については,当初は既存の嚢腫に偶発的にHPVが感染したと考えられていたが,報告が増えるにつれて,先行するウイルス性疣贅が存在して,HPVが嚢腫形成に直接的に関与する可能性が強くなった.足底表皮嚢腫の組織学的特徴は,嚢腫壁,内容にHPVによる細胞変性効果(CPE)として知られている細胞質内好酸性物質と空胞様構造を認めることである.最近,嚢腫の近傍に生じた疣贅でも同様のCPEを認めたことから,この疣贅もHPV60型によるものと考えられ,嚢腫の先行病変である可能性が示唆された.HPV60型は稀ではあるが,足底に感染を生じるタイプで,非圧迫部位では疣贅となり,圧迫部位では一旦疣贅を生じるが皮下に迷入し,排除されずに嚢腫を形成するという機序が推定される.
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