文献詳細
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1993
I 最近話題の疾患
文献概要
後天性皮膚弛緩症acquired cutis laxaは,皮膚が弛緩して,皺襞をつくり,老人様顔貌を呈する稀な疾患である.本症の皮膚には伸展性があるが,弾力性がなく,引っ張って指を離しても容易に元に戻らない.顔面に初発するが,時に全身に及ぶ.およそ半数の症例で,蕁麻疹様紅斑などの前駆病変を有し,薬剤過敏症の後に引き続いて起こることもある.組織学的には,弛緩して萎縮した皮膚における真皮弾力線維の断裂,減少,消失を特徴とする.病因は不明であるが,患者皮膚組織中のエラスターゼ活性が,コントロールに比し高値を示すこと,蕁麻疹様紅斑部の組織で,真皮の弾力線維に沿って多数の好中球が浸潤し,電顕的に,断裂した弾力線維に付着した好中球が観察されることより,本症の病因に好中球エラスターゼの関与が推測される.治療は,蕁麻疹様紅斑にDDSの内服が奏効するが,皮膚の弛緩には有効な治療法がなく,除皺術を行っても再発することが多い.
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