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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科47巻5号

1993年04月発行

特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1993

I 最近話題の疾患

後天性皮膚弛緩症

著者: 落合豊子1 本庄三知夫1 森嶋隆文1

所属機関: 1日本大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.29 - P.33

文献概要

 後天性皮膚弛緩症acquired cutis laxaは,皮膚が弛緩して,皺襞をつくり,老人様顔貌を呈する稀な疾患である.本症の皮膚には伸展性があるが,弾力性がなく,引っ張って指を離しても容易に元に戻らない.顔面に初発するが,時に全身に及ぶ.およそ半数の症例で,蕁麻疹様紅斑などの前駆病変を有し,薬剤過敏症の後に引き続いて起こることもある.組織学的には,弛緩して萎縮した皮膚における真皮弾力線維の断裂,減少,消失を特徴とする.病因は不明であるが,患者皮膚組織中のエラスターゼ活性が,コントロールに比し高値を示すこと,蕁麻疹様紅斑部の組織で,真皮の弾力線維に沿って多数の好中球が浸潤し,電顕的に,断裂した弾力線維に付着した好中球が観察されることより,本症の病因に好中球エラスターゼの関与が推測される.治療は,蕁麻疹様紅斑にDDSの内服が奏効するが,皮膚の弛緩には有効な治療法がなく,除皺術を行っても再発することが多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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