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特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1993 II 皮膚疾患の病態
抗カドヘリン自己免疫疾患としての天疱瘡
著者: 天谷雅行1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.57 - P.61
文献購入ページに移動 天疱瘡は,自己抗体により表皮細胞の接着障害が引き起こされる自己免疫性水疱性疾患である.免疫化学的手法により,尋常性天疱瘡自己抗原(PVA)は,分子量130kDの糖蛋白,落葉状天疱瘡自己抗原は,分子量160kDの糖蛋白で,デスモゾーム構成蛋白の一つであるデスモグレイン(DG)であることが知られていた.今回,PVA,およびDGのcDNAがクローニングされ,ともにCa2+依存性細胞接着因子であるカドヘリンに特徴的な構造を持っていることが判明した.細胞接着障害を引き起こす天疱瘡自己抗体の標的蛋白が,細胞接着に重要な役割をしているカドヘリン型の細胞接着因子であるということになり,天疱瘡は抗カドヘリン自己免疫性疾患であることが明らかになった.さらに,PVAのリコンビナント・プロテインを用いた抗原性の検討から,その主要抗原決定基は細胞外ドメインであるEC1,EC2,EC4に存在することが示された.また,新生マウスを用いた病原性の検討により,EC1-2の領域に,水疱形成を誘導することができる,病原性を持つ抗原決定基が少なくとも1つ存在することが示された.
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