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特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1993 II 皮膚疾患の病態
日光と皮膚癌
著者: 市橋正光1
所属機関: 1神戸大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.73 - P.79
文献購入ページに移動 日本も高齢化社会となり日光曝露部皮膚癌患者数も近年有意に増加している.今後オゾン層の破壊から地表有害中波長紫外線(UVB)が増加すれば皮膚癌はさらに増加する.白人を対象とした疫学的調査および動物に人工UVを照射しての発癌実験結果よりUVBが紫外線発癌の作用波長であることなどが明らかにされている.近年では光免疫学が新しい学問の領域として着実に進歩し,DNA損傷が引き金となってUVBによる局所および全身性免疫抑制が誘導されることが明らかにされている.免疫抑制が皮膚癌発生の重要な要因との考え方も確立されつつある.一方,UV発癌のDNA損傷と修復に関する情報も蓄積され,さらに癌遺伝子の活性化および癌抑制遺伝子の不活化がDNAに生ずるピリミジン2量体との関連で明らかにされつつあり,UVによる多段階発癌の遺伝子レベルでの機序が少しずつ明らかにされてきている.
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