文献詳細
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1993
III 新しい検査法と診断法
文献概要
超生体染色において使用されている色素:neutral redを用いた染色法で鱗屑中の菌要素のviabilityを評価し,浅在性真菌症の病巣における直接鏡検所見と真菌培養所見の解離の理由を検討した.211名の白癬患者,27名の皮膚カンジダ症患者,7名の癜風患者から採取した鱗屑中の菌要素をneutral red染色し,その培養結果と比較検討した結果,白癬およびカンジダ症症例においてneutral red染色と培養結果に強い正の相関関係が認められ,また癜風症例でもneutral red染色陽性7例中5例が培養陽性であった.この事実はneutral red染色陽性細胞が生菌である可能性を強く示唆し,neutral red染色は浅在性真菌症症例の鱗屑中菌要素のviabilityの評価に有用であると思われた.また直接鏡検所見と培養所見の解離はテクニカル・エラーの他に主に鱗屑中菌要素のviabilityが低下しているものがあるために生じるものと考えられた.
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