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臨床統計
広範囲に分布した多発性平滑筋腫—北里大学皮膚科10年間の集計および免疫組織化学的検討
著者: 矢口厚1 米元康蔵1
所属機関: 1北里大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.449 - P.452
文献購入ページに移動 症例,29歳の女性,脳幹部腫瘍にて入院中.20年前より右上肢に有痛性の小結節が出現し,徐々に右半身を主体に増多したため当科受診.淡紅色ないし紅褐色調を呈した粟粒大から小豆大までに隆起する弾性硬の結節が広範囲に分布,圧痛を伴う.臨床的に多発性平滑筋腫と診断した.結節部の生検組織像は真皮上層から下層にかけて被膜のない境界明瞭な平滑筋線維束の集塊が認められた.その線維束はelastica—van Gieson染色およびAzan-Mallory染色にて平滑筋と認められた.当科における過去10年間の平滑筋腫ならびに平滑筋母斑17例について,性差,合併症,平滑筋線維の性格につき検討した.性差では平滑筋腫,平滑筋母斑ともに女性に多く,子宮筋腫の合併は多発性平滑筋腫の3例中2例のみならず単発性平滑筋腫症例にも認められた.また免疫組織化学的に平滑筋腫は平滑筋母斑よりも幼若な平滑筋線維より構成され,血管平滑筋腫とも異なる性格を有する.
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