icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科47巻7号

1993年06月発行

雑誌目次

カラーアトラス

Creeping Diseaseを呈したマンソン孤虫症

著者: 田邉洋 ,   中久木ゆかり ,   米澤郁雄

ページ範囲:P.534 - P.535

 57歳女性の心窩部に出現したcreeping disease様紅斑からマンソン裂頭条虫のPlerocercoidを摘出した.同症の臨床症状は皮下結節1〜4)や索状硬結5,6)を呈する場合が多く,本症例のように線状紅斑の臨床像7)を示すのは珍しいと思われ,ここに報告する.
 患者 57歳,主婦
 初診 1991年2月27日
 家族歴 家族に同症状の者はない.
 既往歴 1年前にも今回と同様の皮疹が出現したが,自然消退している.
 現病歴 1991年2月頃より心窩部から右側腹部にかけて連続性の蛇行状線状紅斑が徐々に延長してきた.紅斑の一部には硬結を触れる.過去に生肉を食べた既往はない.

原著

色素性疾患に対する異なるパルス幅のルビーレーザー照射後の病理組織学的変化

著者: 佐藤守弘 ,   郡司裕則 ,   小野一郎 ,   金子史男

ページ範囲:P.537 - P.540

 パルス幅が2msecの従来型ルビーレーザー装置(東芝LRT 301—A)と改良型のパルス幅が200〜400μsecの短パルスルビーレーザー装置を用いて正常皮膚および太田母斑に照射し,その組織変化と太田母斑ではその治療効果を比較検討した.正常皮膚表皮の剥離にはパルス幅の長い従来型がより有効で,真皮内に主病変を持つ太田母斑の治療に対しては短パルスルビーレーザー装置が有効であった.しかし,その治療効果には限界があり,パルス幅や照射エネルギー量に対する今後の検討が必要である.

側頭動脈炎の1例報告と本邦における63例の統計的検討

著者: 竹之下秀雄 ,   長谷川隆哉 ,   滝口好彦 ,   鈴木正夫 ,   金子史男 ,   我妻亜喜雄

ページ範囲:P.541 - P.547

 症例は59歳,男.平成2年10月頃より頭重感が出現し,同時に左右後頭部の皮膚が瘙痒と圧痛を伴って肥厚し,しだいに右前頭部と右頬部にも同様の肥厚が生じた.初診時(平成3年2月23日)に好酸球増多(1464/mm3)がみられ,入院時(3月5)には38℃台の発熱と赤沈亢進(82mm/h)も出現した.右前頭部の生検では,血栓で内腔が閉塞され,内膜から中膜にかけて好酸球を混じた炎症性細胞浸潤を伴う動脈炎の像が得られたが,巨細胞はみられなかった.これらの臨床症状と組織像より側頭動脈炎と診断した.Prednisolone 30mg/日内服にて軽快した.本邦の63例について文献的に検討した.男女比は35:28.側頭動脈の索状肥厚は46例にみられ,そのうち両側例は34例,左側のみと右側のみがそれぞれ6例で,後頭動脈の索状肥厚は4例にのみ存在していた.組織学的に巨細胞が確認されたのは40例であった.治療はpred—nisolone 30〜60mg/日投与が最も多かった.

高齢者のCutaneous T cell Lymphomaの2例に対するTHP-COP-E療法について

著者: 飯島茂子 ,   猪股出 ,   大塚藤男 ,   渋谷彰

ページ範囲:P.549 - P.554

 症例1:68歳男性,II B期;症例2:75歳女性,II A期のcutaneous T celllymphomaの化学療法として,THP-COP療法,さらにetoposideの少量持続経口投与を加えたTHP-COP-E療法(CHOP療法の変法)を試みた.症例1は狭心症の既往のある患者で,anthracycline系薬剤を総計710mg(ADM250mg,THP460mg),症例2は心肥大の既往のある患者で,THPを総計585mgを使用したが,全経過を通して,心不全徴候や心電図異常など心毒性を疑わせる所見は認めなかった.症例1,症例2ともにTHP-COP-E療法としてそれぞれ4クール,3クールで完全寛解となった.高齢者で心毒性が危惧される症例に対して,THPはADMの代替として比較的安心して使用可能な薬剤と思われた.また,etoposideの少量持続経口投与は,代表的なCHOP療法またはTHP-COP療法にて効果の乏しい場合には,次に選択してみるべき治療法であるが,その投与量や投与方法については,今後症例を重ねて十分検討する必要があると考えられた.

今月の症例

Osler結節の1例

著者: 大草康弘 ,   杉山悦朗 ,   田中信 ,   森木隆典 ,   大出尚郎

ページ範囲:P.557 - P.560

 42歳,女性に生じたOsler結節の1例を報告した.亜急性細菌性心内膜炎にて加療中,手指,手掌,足趾に有痛性紅斑が出没し,紅斑の組織でleukocytoclasticvasculitisが認められた.また眼底にRoth斑もみられた.Osler結節の発症機序に若干の考察を加えるとともに,自験例のOsler結節は免疫学的機序で発症した可能性が強いことを述べた.

2期後期の汎発性梅毒疹の1例

著者: 石井明子 ,   久米井晃子 ,   小泉麻奈 ,   中山秀夫

ページ範囲:P.561 - P.564

 43歳,ホームレスで日雇い労働者の男性.平成3年10月頃より,ほぼ全身に紅斑性丘疹を生じ,漸次全身に拡大し,痂皮,潰瘍を多発したため来院.梅毒血清反応は定量法で,TPHA131万倍,ガラス板法64倍,凝集法128倍陽性.生検部にトレポネーマを少数ながら認めたので,2期末期ながら潰瘍を多発する,いわゆる悪性梅毒と考えられた.Bicillin,erythromycinの経口投与で皮疹は軽快し,色素性梅毒疹様の色素沈着を残し治癒.この色素沈着の治療として1%コウジ酸クリームの外用を1日2回行い,著明な改善をみた.

連載

Clinical Exercises・3—出題と解答

著者: 宮地良樹

ページ範囲:P.564 - P.564

元気な皮膚科医であるために・3

わかりやすい皮膚科学の必要性

著者: 今山修平

ページ範囲:P.573 - P.573

 他の動物からヒトを区別する特徴であると思われていた様々の生物学的常識が分子生物学の進歩によって次々と覆されています.たとえば,ヒトのある遺伝子(あるいは分子)は豚と60%のホモロジー(相同性)があるとか,時には細菌のものと比較されてもそう違ってはいない有様です.そうなるとますます,ひとり人類だけが孤高を保つ理由もなくなってきました.
 私ごときが言うまでもありませんが,気候の異常など,かつては局地的なものと考えられていたことの多くが地球規模の変化であることが科学の進歩によって証明されています.それに伴い生態系が変化しつつあることを目の当たりに目撃している現在,ヒトも他のすべての生き物と地球を分け合っているのだという認識が,放送と印刷を通じて広く理解されるようになったことは,やはり科学の勝利と言わなければならないと思います.

症例報告

タヌキマダニによるマダニ刺咬症の本邦初報告例

著者: 辛島正志 ,   笹井陽一郎 ,   谷川瑞子 ,   米田豊

ページ範囲:P.566 - P.567

 長崎県平戸市在住の5歳の女児.初診の6日前に頭部の疼痛があり,2日前に右側頭部の虫体に気づく.右側頭部に虫体が咬着し,周囲に紅暈を伴う.虫体を含め咬着部皮膚を切除した.虫体はタヌキマダニ(Ixodes tanuki Saitou)成虫の雌と同定.慢性遊走性紅斑などの症状は認めなかった.タヌキマダニの人体寄生例の報告は本症例が最初である.

潰瘍性大腸炎に併発した結節性紅斑および壊疽性膿皮症の各1例

著者: 山本俊幸

ページ範囲:P.569 - P.573

 潰瘍性大腸炎に併発した結節性紅斑および壊疽性膿皮症の各1例を報告した.症例1は40歳,女性で初診の約5年前より下痢,腹痛が続き,潰瘍性大腸炎と診断され加療を受けていた.症例2は52歳,女性で初診の約9年前より潰瘍性大腸炎で加療を受けていた.どちらもサラゾピリンおよびステロイドの内服にて寛解した.とくに症例1は幾度か寛解,再燃を繰り返したが,その都度皮疹の新生にやや先立って消化器症状の増悪が認められ,皮疹の新生期と潰瘍性大腸炎の活動期とが相対応する傾向が認められた.

毛孔性紅色粃糠疹様角化性丘疹を認めた多発性筋炎の1例

著者: 大塚勤 ,   山蔭明生 ,   石川英一

ページ範囲:P.575 - P.578

 41歳,女性.初発症状として著明な瘙痒とともに丘疹ないし紅斑および四肢ないし体幹に広範に分布し一部掻破痕に一致した角化性丘疹が認められ,その1カ月後に関節痛,筋痛が出現した.右上腕三頭筋の生検で著明な細胞浸潤と筋線維の変性像がみられ,さらに定型的な筋原性筋電図所見,筋原性酵素の著明な上昇が見られたことより多発性筋炎と診断した.角化性丘疹は,組織学的に角栓形成,軽度の錯角化,表皮肥厚を認め,毛孔性紅色粃糠疹(pityriasis rubra pilaris,PRP)様であった.皮疹は組織学的に毛孔性紅色粃糠疹と矛盾しなかったが,筋原性酵素の推移と皮疹の出没とに関連がみられた点より多発性筋炎に伴った皮疹と考えた.

尋常性乾癬に合併した類天疱瘡の1例

著者: 元木良和 ,   滝口好彦 ,   金子史男 ,   吉田弘昭 ,   鈴木重行

ページ範囲:P.579 - P.582

 尋常性乾癬に類天疱瘡を合併した71歳男性例を報告した.15年来尋常性乾癬として治療を受けていたが,明らかな誘因なく浮腫性紅斑と水疱が急速に出現,拡大した.角化性紅斑の組織像では乾癬に一致する所見がみられ,水疱部の生検像では表皮下水庖が認められた.角化性紅斑および水疱部ではいずれも免疫組織学的に基底膜部にIgGとC3の線状沈着がみられた.さらに,水疱液からはγ—インターフェロン,tumor necrosis factor—αが検出された.両疾患の合併機序は未だ不明であるが,これらの水疱液中より検出されたサイトカインは細胞性免疫反応の産物であることから,両疾患に共通する何らかの細胞性免疫機序が想定された.

先天性大腿骨短縮症および有棘細胞癌を合併した劣性栄養障害型表皮水疱症の1例

著者: 池嶋文子 ,   池田志斈 ,   森岡眞治 ,   小川秀興 ,   桜庭景植

ページ範囲:P.583 - P.588

 症例は44歳男性.生下時より,軽微な外力により水疱,びらん形成および,その後の瘢痕形成を繰り返し,10歳頃よりは手指の棍棒状癒着を来した.また左下肢の著明な短縮が生下時より認められた.水疱は電顕的に基底膜下に認められた.下肢X線像では大腿骨の短縮・変形が観察された.以上より,本症例を劣性栄養障害型表皮水疱症に大腿骨短縮症を合併したものと診断した.また経過中,右踵部に有棘細胞癌の発生がみられた.先天性表皮水疱症に他の先天異常を合併した症例は比較的少なく,また骨の先天奇形のうちでも非常にまれな疾患である大腿骨短縮症を合併した本症はこれまで報告がない.そこで,先天性表皮水疱症と他の先天異常の合併,および有棘細胞癌の合併について,若干の考察を加えて報告する.

続発性痛風の1例

著者: 鬼頭美砂紀 ,   新田悠紀子

ページ範囲:P.589 - P.591

 82歳,女性.右示指のDIP関節部に出現した痛風結節を報告した.3×4cmの発赤を伴う暗紫赤色の腫瘤で,爪の変形,骨の破壊もみられた.生検時圧出されたチョーク状の内容物は,顕微鏡下で針状結晶を認め,尿酸定性用試薬(uricase-per—oxidase法)で尿酸と同定した.遺伝的要素がなく,慢性腎不全で治療中であったことより続発性痛風と考えた.

多発性骨髄腫に合併し特異な臨床像を呈したアミロイドーシスの1例

著者: 菊池新 ,   桜岡浩一 ,   尼ケ崎安紘 ,   栗原誠一

ページ範囲:P.593 - P.596

 多発性骨髄腫に合併し特異な臨床像を呈したアミロイドーシスの1例を報告した.症例は64歳,男.約3カ月前より進行する臀部の板状硬結を主訴に当科を受診した.臨床的に腰臀部と両大腿上部には板状で骨様硬の皮下硬結を認め,これらが一塊となっているため起立,歩行などの運動が制限されていた.臀部皮膚にはアミロイドの沈着は認めなかったものの,大臀筋は著しく変性し筋線維間にはAL蛋白の沈着を認めた.

Isolated Epidermolytic Acanthomaの1例

著者: 笠松正憲 ,   辻卓夫

ページ範囲:P.597 - P.600

 79歳,女.右鎖骨上部に生じたisolated(or solitary)epidermolytic acan—thoma(以下,IEAと略す)を報告した.単発する径5mm大の有茎性で表面疣状,正常色の小結節があった.病理組織学的には,いわゆる顆粒変性の典型像を呈した.本症例は腹部のcutaneous hornを合併したが,組織学的にはsenile keratosisであり,顆粒変性の像はみられなかった.ウイルス学的検索を行うも,抗ヒト乳頭腫ウイルス抗体を用いたPAP法では陰性であった.従来のIEA報告例を集計し,若干の文献的考察を加えた.

増殖性変化を伴った外毛根鞘性嚢腫—2例の報告

著者: 木村俊次

ページ範囲:P.603 - P.607

 症例1:34歳女.4カ月前出現した頭頂部の示指頭大皮下腫瘤.組織学的に被覆表皮と連続性のない外毛根鞘性嚢腫(TC)で,約半周の壁が肥厚し,2カ所で内腔に向かう充実性増殖と二次性嚢腫形成,1カ所で外方に向う嚢腫性突出を示す.症例2:40歳女.10年前出現,2,3年末増大.最近一部に炎症をきたし小切開を受けた後頭部の鶏卵大腫瘤.組織学的に被覆表皮と連続する角質性嚢腫で,その壁は連続部のみ表皮型,その他は不全角化を伴うとはいえ外毛根鞘型の角化を示す.外毛根鞘型角化部は壁の全体的肥厚をきたしている.増殖の程度は2例とも増殖性TC(PTC)ほど高度ではないことから,増殖性変化を伴ったTCと考えられた.PTCとTCとの関連について,PTCの型別も含め若干の考察を加えた.

Malignant Giant Cell Tumor of Soft Partの1症例

著者: 麻生和雄 ,   青木武彦 ,   後藤一史 ,   今泉勤 ,   武田光

ページ範囲:P.609 - P.612

 75歳,男性.左肩甲部の僧帽筋を中心として発症したmalignant giant celltumor of soft part(MGCT)の症例について報告した.所属リンパ節転移はなかったが,腫瘍摘出後2年手術創部から再発をみた.病理組織学的に皮下筋層に及ぶ線維芽細胞様細胞,組織球様単核球細胞の種々の程度の増殖がみられ,後者で異型性が明らかであった.腫瘍巣中に破骨型巨細胞,類骨細胞が認められた.再発腫瘍もほとんど同様な病理組織像を呈していた.症例はGuccion & EnzingerのMGCT深部型に属する.

抗癌剤外用後に組織学的にPaget病様変化をきたしたBowen病の1例

著者: 佐々木裕子 ,   荒浪暁彦 ,   秋山真志 ,   杉浦丹

ページ範囲:P.613 - P.616

 65歳,男.57歳頃より左前腕に皮疹出現.放置していたところ拡大し62歳時当科初診.生検にて典型的なBowen病の所見を呈し,手術を予定したが患者は来院せず,近医にて5FU軟膏の外用療法を受け瘢痕を残して略治.65歳時,瘢痕辺縁に軽度隆起性の紅色局面が出現.病理組織学的には大型で胞体の明るいPaget細胞様の細胞が個々にあるいは集合して表皮内に散在性に見られ,pagetoid Bowen病と診断された.自験例を報告するとともにpagetoid Bowen病について文献的考察を行い,本症は独立疾患ではなく,Bowen病に見られる組織所見の一つと考えるのが妥当であろうと考察した.

特異疹としての点状紫斑を呈した急性骨髄性白血病の1例

著者: 森誉子 ,   竹田薫 ,   石垣優 ,   原一夫

ページ範囲:P.617 - P.619

 症例は26歳男性.発熱と出没する四肢伸側の点状紫斑のため来院.末梢血において白血球数が46000/μlと増加し骨髄芽球が100%を占めており,骨髄検査にて急性骨髄性白血病と診断された.紫斑部の病理組織所見では真皮および皮下組織の血管周囲に単球様異型細胞の浸潤が認められ,特異疹と考えられた.

治療

Free Groin Flapにより再建した足背部のVerrucous Hemangiomaの1例

著者: 有賀毅二 ,   元木良和 ,   長谷川隆哉 ,   丹治修 ,   金子史男 ,   小林誠一郎

ページ範囲:P.621 - P.624

 症例:30歳,男.生来右足背部に貨幣大ほどの暗赤色斑があった.5歳時に放射線治療を受けたがその後も皮疹は徐々に拡大傾向を示し,さらに12,3歳頃からは表面が疣状を呈し,隆起してきた.初診時,右足背関節部に33×52mm大の灰褐色,一部黒褐色の表面粗な疣状の腫瘍を認めた.その周囲には皮下腫瘤を触れた.臨床像および組織所見からverrucous hemangiomaと診断し,手術療法を行った.腫瘍辺縁より2cmから4cm離して皮切.底部および辺縁とも腱膜さらに筋膜の一部を含め十分に切除した.この欠損に対し,左鼠径部から採取したfree groin flapによって再建した.その後整容を目的に2回のdefattingを行った.初回手術後1年8カ月を経過した現在まで再発の兆候はない.また,機能上問題なく,整容的にも満足の得られる状態である.

印象記

American Academy of Dermatology—年次総会1992年に参加して

著者: 天谷雅行

ページ範囲:P.626 - P.627

 American Academy of Derma—tology(AAD)年次総会は,日本でいえば日本皮膚科学会総会に相当する,年に1回の皮膚科の中では一番大きな学術大会です.1992年度のAADは,アメリカ西海岸にあるサンフランシスコで12月5日から10日の6日間の日程で開催されました.
 AADの一番大きな特徴は,学会全体の構成が非常に教育ということに大きな柱をおいていることでしょう.通常の日本で開かれる学会と違い,一般演題の募集はごく限られたセッションのみで,各セッションのチーフが,それぞれの専門分野で活躍している人に依頼し,講演をしてもらうという形式をとっています.現在一口に皮膚科と言っても,カバーしなければならない領域が広い上に,時代の進展が早く,ついて行くのは至難の業です.そのためこのように年に1回,各領域での主なことをまとめてくれると非常に助かります.しかも,講演をする側も,聴衆により採点されるので,その発表の仕方に気を配って,できるだけ初心者にもわかりやすく説明しようと努力しています.そのため開業なさってまさに皮膚科診療の第一線で活躍されている先生から,研究に携わっている先生まで,それぞれ自分でその年のテーマを決め,いろいろなコース,セッションを取り,学会中にかなりのことを勉強されています.私の恩師で水疱症で世界的権威のStanley先生も,acneの最近の治療法についてとか,herpes virusの最近の知見についてだとか,自分の専門分野ではないものをとり,勉強され,学会を楽しんでいらっしゃいました.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?