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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科47巻8号

1993年07月発行

文献概要

今月の症例

朱色刺青部に硬化性萎縮性苔癬,黒色刺青部に半米粒大扁平丘疹の発症をみた1例

著者: 山﨑直也12 柳原誠1 前田学1 森俊二1

所属機関: 1岐阜大学医学部皮膚科学教室 2国立がんセンター中央病院皮膚科

ページ範囲:P.663 - P.666

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 5年前に左胸背部から左上腕にかけて彫った刺青(黒,朱,緑,褐色の4色を使用)に一致して軽い瘙痒と腫脹に気づき来科.初診時,刺青のうち,朱色刺青部は乳白色に混濁し,軽度腫脹と表面の軽い萎縮と落屑を認めた.黒色刺青部では半米粒大の孤立性扁平隆起性丘疹が多発し,その色調は淡黒褐色で,一部は正常皮膚色であった.組織学的には,朱色刺青部は硬化性萎縮性苔癬で,表皮下の浮腫部の中・下層に黒色顆粒を含有するマクロファージが多数浸潤し,その黒色顆粒状物質にはX-raymicroanalysisで水銀の存在が同定された.黒色刺青部の扁平隆起性丘疹は表皮はほぼ正常で,小血管周囲にはリンパ球と黒色顆粒を含有するマクロファージの密な浸潤を認めた.表皮にpapillomavirus抗原を認めなかった.“The verrucous mermaid”と題して報告されている疾患と同様の疾患であると診断した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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