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症例報告
離職10年後になお残存する職業性グラスファイバー皮膚炎の1症例
著者: 島井信子1 中山秀夫1
所属機関: 1東京都済生会中央病院皮膚科
ページ範囲:P.671 - P.674
文献購入ページに移動 “突き刺さり型”のグラスファイバー皮膚炎は,ガラス繊維の改良によりほとんど見られなくなったが,最近その後遺症の1症例を経験したので報告する.症例は60歳女性,足の有痛性皮疹を主訴として受診した.患者は約10年前7カ月間グラスファイバーを扱う仕事に従事したが,ファイバーが皮膚に刺さって痒いため仕事を辞めた.以後10年間,足底の疼痛,紅斑を度々生じた.血液検査上異常はなく,痛風,RAは否定でき,足底よりの白癬菌検査は(−)であった.左母趾,左第II趾より,生検を施行し組織所見を検討したところ,真皮上層に,グラスファイバーと思われる透明均一棒状異物を認めた.また,削った足底の角層からもガラス繊維と思われる物質を見いだした.この疾患は,作業を止めると皮膚炎も改善するのが普通であり,自験例のような例は珍しいので報告した.
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