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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科47巻8号

1993年07月発行

症例報告

皮膚に巨大潰瘍を形成した乳癌の1例

著者: 大石雅樹1 加藤文博1 岸浩之1 田中智1 昆みゆき1 飯田憲治1 前田和男1 嵯峨賢次1 高橋誠1 岡崎稔2 及川修3

所属機関: 1札幌医科大学皮膚科学教室 2札幌医科大学第一外科学教室 3及川皮膚科医院

ページ範囲:P.709 - P.712

文献概要

 58歳,女性の皮膚に巨大潰瘍を形成した原発性乳癌の1例を報告した.初診時,右胸部に10.0×8.0cmの巨大潰瘍を伴った14.5×10.0cmの皮下腫瘤,胸骨正中部および左胸部には衛星皮膚結節を認めた.右鎖骨上および両側腋窩リンパ節を触知した.組織像は充実腺管癌であり,stage IVの末期乳癌と診断された.自験例を腫瘍マーカーを用いて検討したところ,血清腫瘍マーカーではCAl5-3 146.6U/ml(正常値5〜21U/ml)が異常高値を示し,carcinoembryonic antigen(CEA)14.2ng/ml(正常値0〜5.9ng/ml),フェリチン134.7ng/ml(正常値5〜120ng/ml)も高値を示した.Neuron specific enolase(NSE)は正常範囲内にとどまった.免疫組織化学的にはCEAは腫瘍細胞に一致して強陽性であったが,血清中では検出できなかったNSEも腫瘍細胞に一致して強陽性であった.EMAは強陽性,c-erbB-2蛋白は弱陽性であった.血清腫瘍マーカーおよび免疫組織化学的検討が乳癌の補助診断として有用と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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