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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科47巻9号

1993年08月発行

症例報告

咽頭部の溶連菌感染が発症誘因と考えられた毛孔性紅色粃糠疹の小児例

著者: 川本知江1 吉池高志1 相川洋介1 小川秀興1

所属機関: 1順天堂大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.779 - P.782

文献概要

 11歳,女児.咽頭部溶連菌感染による病巣感染が発症誘因として考えられた毛孔性紅色粃糠疹の1例を報告した.咽頭炎症状発症後,約1週間後に掌蹠,肘頭部,膝蓋部に対称性・境界明瞭な紅斑角化性の局面が急速に発症した.咽頭扁桃部は膿窩を形成し,細菌培養にて溶連菌陽性を示した.病理組織学的には,垂直および水平方向への正角化・不全角化が交互に配列して認められた.以上の臨床像と病理像より,本症を毛孔性紅色粃糠疹と診断した.特記すべき点は,ステロイド・尿素などの外用には全く反応せず,minocyclinを内服させたところ,咽頭炎症状は急速に軽快し,皮疹はそれに合わせるかのように消退したことである.以上,①咽頭炎が発疹の契機となったこと,②皮疹の消長が咽頭炎症状に合致したこと,③抗生物質の投与に対して皮疹も反応したことなどから,自験例においては皮疹の発症に咽頭部の溶連菌感染が誘因として強く考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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