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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科48巻1号

1994年01月発行

症例報告

マダニ刺咬症—軽症のライム病が発症したと考えられる1例

著者: 大竹直人1 窪田泰夫1 島田眞路1 玉置邦彦1

所属機関: 1山梨医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.43 - P.47

文献概要

 3歳,女児.平成3年7月14日,山梨県の櫛形山に登り,草の中を走り廻った.約1週間後,両親が右後頭部に咬着する虫体に気づいた.平成3年7月22日の初診時,右後頭部にシュルツェマダニの雌が咬着していたが,飽血後の自然脱落を待つことにした.2週間経過しても自然脱落を認めないため切除した.咬着部周囲の紅斑はわずかに拡大し,右後頸部には拇指大,圧痛があるリンパ節を触知した.母親の話では,初診より10日目頃に2,3日間,両側頬部に環状紅斑,右下腿に強い筋痛が出現したということであった.ライム病を疑い,Borrella burgdorferi抗体(Bb抗体)を測定した結果,31.1%RS(正常10未満)(平成3年9月20日)であつたため,PIPCを2週間投与した.その後,症状の出現はなく,Bb抗体も44.9%RS(平成3年10月15日)から16.9%RS(平成4年3月30日)に低下した.自験例のように症状が軽いライム病では,Bb抗体の測定が診断,治療効果の判定に有用であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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