文献詳細
症例報告
文献概要
伝染性紅斑妊婦に合併し急速な転帰をとった胎児水腫の1例を報告した.症例は29歳,女性.夫に伝染性紅斑様症状が先行したため家族内感染と考えられた.前駆症状として微熱が出現した後,顔面と四肢に紅斑を生じたため妊娠10週時に来院した.血清のヒトパルボウイルスB19IgM抗体が3.77と上昇していたため,本例を妊婦に生じた伝染性紅斑と診断した.妊娠12週2日より産婦人科で胎児への合併症につき経過観察を開始した.妊娠18週0日超音波検査にて胎児水腫を認めなかったが,2日後の超音波検査時に腹水および心嚢水を認め,その翌日胎児心拍運動の停止を超音波検査で確認するに至った.本例はパルボウイルスの胎内感染により急速に子宮内胎児死亡に至ったが,パルボウイルスの感染像が伝染性紅斑のみでないことを知る上で貴重な症例であった.
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