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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科48巻10号

1994年09月発行

文献概要

症例報告

表皮真皮境界部に免疫グロブリン沈着を伴った疱疹状天疱瘡の1例

著者: 高橋さなみ1 佐々木哲雄1 金秀澤1 大井田美保1 金井塚生世1 杉田泰之1 長谷哲男1 中嶋弘1 橋本隆2 西川武二2

所属機関: 1横浜市立大学医学部皮膚科学教室 2慶應義塾大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.883 - P.886

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 症例は64歳女性.再生不良性貧血にて内服加療中,体幹,四肢に瘙痒を伴う雀卵大から手拳大の境界明瞭な滲出性の紅斑が多発,内部には緊満性小水疱が散在.口腔粘膜にはびらんを認めた.検査所見では末梢血好酸球22%,RA因子26.6U/ml,抗核抗体80倍陽性,免疫複合体上昇.病理所見で好酸球性海綿状態・微小膿瘍と好酸球・フィブリンを入れる表皮内水疱を認めた.蛍光抗体直接法で表皮細胞間にIgG,表皮真皮境界部(DEJ)にIgG,C3,C1qが陽性,間接法で抗表皮細胞間抗体160倍陽性.免疫ブロット法では落葉状天疱瘡に一致する所見で,類天疱瘡(BP)抗体は認めなかった.以上より疱疹状天疱瘡と診断し,本症例におけるDEJの免疫グロブリン,補体の沈着機序としてはBPの合併ではなく血中免疫複合体の沈着と考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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