臨床皮膚科48巻10号

1994年09月発行

症例報告

左肘関節外側部に生じたメルケル細胞癌の1例

著者： 大沼利恵¹ 森口暢子¹ 馬場直子¹ 長谷哲男¹ 中嶋弘¹ 稲山嘉明²

所属機関： ¹横浜市立大学医学部皮膚科学教室 ²横浜市立大学医学部附属病院病理部

ページ範囲：P.923 - P.925

文献概要

　55歳，女性．初診，平成4年10月．平成4年7月，径1cm大の腫瘤が左肘関節外側部に出現した．疼痛，瘙痒感はなかった．患者は虫さされと思い市販の外用薬を塗布していた．腫瘤は急速な増大傾向を示したため当科を受診した．腫瘤は半球状に隆起し，表面に凹凸があり，紫紅色調を呈していた．大きさは30×45×17mmであり，弾性硬，境界は明瞭で可動性良好であった．所属リンパ節の腫脹は認められなかった．生検HE標本にてメルケル細胞癌を疑い，免疫組織学的に検討した．当教室におけるメルケル細胞癌は自験例を合わせ4例である．