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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科48巻12号

1994年11月発行

文献概要

これすぽんでんす

滝脇弘嗣先生の御意見に応えて

著者: 白石正彦1 花田勝美1

所属機関: 1弘前大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.1147 - P.1147

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 拙著「肝斑患者に対するルビーレーザーによる治療とその限界—メラニン指数の推移による保存的治療との比較—」(臨皮48:831, 1994)に対する貴重な御意見を賜りありがとうございました.以下,御質問に対する若干の見解を述べさせていただきたいと思います.
 今回,色素沈着の定量化に用いたDerma-Spectrometer®の原理は,皮膚の色を決定している主な色素の一つであるヘモグロビンとメラニンの吸光特性を利用したものです.著者が論文内で用いたメラニン指数は,メラニンには吸収されるが,酸化ヘモグロビンにはほとんど吸収されない赤色光(655nm)を皮膚に放射した際のその反射率の逆数の対数値で示されます.したがって本装置は単色光を用いた反射分光光度計であり,Kollias N & Baqer AHの報告した広波長領域のそれとは厳密には異なります.還元ヘモグロビンは,酸化ヘモグロビンと異なり,赤色光の吸収が無視できませんから,うっ血を起こすような姿勢や機器の当て方では,このメラニン指数は影響を受けることになります.したがって,その色調の程度を個体間,あるいは同一個体内の他の部位との間で比較検討する場合は,臥位などの基準化した姿勢での測定法の統一,ないしは隣接正常部との差をとることも必要になると思います.しかしながら,著者が論文内で定義した相対メラニン指数は,治療に伴う皮膚病変部の色調の変化の推移を客観化することを目的に設定したものであります.つまり,同一人の同一部位での比較を行ったものです.したがって,治療前後の病変部の指数の比をとることでその目的を十分達し得るものと考えます.特に本装置は,臨床の場で使用されやすいように小型軽量化されており,かつ,前述の条件のもとではメラニンの動態をよく反映することが知られ,米国を中心にレーザー外来,紫外線の研究に頻用されております.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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