臨床皮膚科48巻13号

1994年12月発行

症例報告

恙虫病の1例

著者： 須藤晴美¹ 岡山英世¹ 桜井みち代¹ 坪井義昌²

所属機関： ¹市立島田市民病院皮膚科 ²国立予防衛生研究所

ページ範囲：P.1199 - P.1202

文献概要

　静岡県で発生した恙虫病の1例を報告し，静岡県における恙虫病発生状況と併せて検討した．症例は43歳，男性．平成4年12月，40℃の発熱と全身倦怠感が出現し，数日後全身に紅斑が出現した．初診時左腋窩に刺し口を認め恙虫病を疑いミノサイクリンを投与したところ速やかに改善した．Weil-Felix反応，補体結合反応は陰性であったが，間接螢光抗体法にて抗体価の有意な上昇を認めた．また，polymerasechain reaction（PCR）法によるDNA診断にて恙虫病リケッチアの特異的DNA断片が確認された．