文献詳細
特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1994
I 最近話題の疾患
文献概要
成人型アトピー性皮膚炎の顔面病変は皮脂分泌が活発となる思春期頃に好発する.思春期は小児期のアトピー性皮膚炎が自然軽快ないし消褪する年代とされるが,顔面では症例により皮脂の分泌が過剰になり,皮脂や脂肪酸成分の量的および質的変化が刺激因子となり,刺激に対し過敏な反応性を有するアトピー性皮膚炎患者皮膚に一次刺激性皮膚炎を形成する結果となる.この状態にステロイド外用剤を連用すると,徐々に習慣性を獲得し,酒皶様皮膚炎の発症を誘発する結果となる.患者はステロイド外用剤の中止により反跳現象をみるため,医師の適切な指示がないとさらにステロイド外用剤を続けることとなる.この顔面のアトピー性皮膚炎と酒皶様皮膚炎の合併がatopic red faceといわれるものであろうと考える.Atopic red faceが考えられた場合,まず顔面からのステロイド外用剤の使用を中止することが必要である.治療およびスキンケアについても言及した.
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