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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科48巻5号

1994年04月発行

文献概要

特集 最近のトピックス Clinical Dermatology 1994 II 皮膚疾患の病態

しわとエラスチン

著者: 桜岡浩一1 多島新吾2

所属機関: 1済生会横浜市南部病院皮膚科 2慶應義塾大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.69 - P.72

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 しわとエラスチンとの関連を検討するために2つの実験系を用いた.特殊老化ヘアレスラットでは老化に伴い顕著なしわ形成を認めるがこの現象は真皮内のイソデスモシン(エラスチン)含量の低下と平行していた1).このことはエラスチンの量的減少としわ形成が関連していると考えられた.培養平滑筋細胞の培地にはエラスチン分子(65kD)の他に45kDのフラグメントが認められた.このポリペプチドは培地中でエラスチン分子がすみやかに分解を受け特異的な45kDのポリペプチドに低分子化され,切断単位はN末から15kDの部分が除かれるためと考えられた.この分解物は安定であり組織中でもそのまま保持され互いに架橋を形成するか,あるいはintactなエラスチン分子と架橋を形成し,正常なエラスチン分子同士の架橋とは異なり異常なエラスチン線維を形成する可能性が考えられた.以上よりエラスチンの量的,質的異常はしわの形成と密接に関連していると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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