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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科48巻7号

1994年06月発行

雑誌目次

カラーアトラス

皮膚B細胞性リンパ腫

著者: 須階富士雄 ,   澤田俊一 ,   新村眞人

ページ範囲:P.550 - P.551

患者 55歳,男.高松市出身
 初診 平成4年4月14日
 既往歴 40歳より糖尿病あり.
 家族歴 特記すべきことなし.
 現病歴 10年前より背部の紅色局面に気づくも自覚症状がないため放置していた.最近家人に病変の拡大を指摘され当科を受診した.
 現症 病変は左側背部に限局する自覚症状のない暗赤色〜赤色の局面で強い浸潤を伴う.一部では丘疹の集籏した不整形局面を形成し,また一部では環状の局面をなしている(図1,2).全身のリンパ節は触知せず,肝脾腫も認められない.

原著

腎移植後に発症した皮膚悪性腫瘍

著者: 岐部幸子 ,   竹中秀也 ,   加藤則人 ,   奥田良治 ,   岸本三郎 ,   安野洋一 ,   安村忠樹 ,   岡隆宏

ページ範囲:P.553 - P.558

 腎移植長期生着例に発症した皮膚悪性腫瘍5症例6病巣を報告する.京都府立医科大学第2外科においては1967年(昭和42年)から1993年(平成5年)にかけて380例の腎移植術が施行されており,このうち皮膚悪性腫瘍は5症例6病巣認められた.症例は男性4名,女性1名で,腎移植症例総数に対する発生率はそれぞれ男性1.4%(4/290),女性1.1%(1/90)であった.発症年齢は平均47.6歳で,皮膚悪性腫瘍の種類は,有棘細胞癌(SCC)2例3病巣,基底細胞癌(BCC)2例,血管肉腫1例であった.いずれも露光部に発症しており,移植から腫瘍発生までの期間は平均11.6年であった.全例が生体腎移植症例であり,術後に免疫抑制剤としてazathioprineおよびprednisoloneの投与が行われていた.腎移植後発症の皮膚悪性腫瘍について若干の文献を交えて考察した.

アナフィラクトイド紫斑と皮膚アレルギー性血管炎(Ruiter)の再検討

著者: 松浦和子 ,   西本正賢 ,   高岩堯

ページ範囲:P.559 - P.562

 アナフィラクトイド紫斑(AP)と皮膚アレルギー性血管炎(Ruiter)を組織所見にて鑑別し,過去10年間に当科入院となったAP15例,Ruiter8例について,発症誘因,臨床症状(皮疹の分布と経過),全身症状合併と重症度,血液および尿検査所見を比較し,腎の予後との関連性を再検討した.APの発症に季節的変動が認められたが,咽頭培養においてβ—連鎖球菌は検出されなかった.尿異常が遷延したのはAP3例,Ruiter2例で,Ruiterのうち1例が紫斑病性腎炎にて急性腎不全の転帰をとった.皮疹の分布が広範囲で,消褪までに1カ月以上要する場合や血清IgAが高値を呈する場合は,両者を問わず異常尿所見を伴う傾向にある.検討した各項目で両者間にほとんど差がみられず,発症メカニズムの違いが不明の現在,両者をあえて区別する必要はないと考えた.

Malassezia(Pityrosporum)毛包炎—膿疱天蓋部組織標本と膿疱内容塗抹標本の消化PAS・グロコット染色による診断

著者: 當間由子 ,   本庄三知夫 ,   落合豊子 ,   森嶋隆文 ,   仲弥

ページ範囲:P.563 - P.567

 臨床的にはMalassezia(Pityosporum)毛包炎の典型と思われる3例を短期間に経験したが,いずれの例でもKOHパーカーインク法で胞子を確認するのは困難であった.そこで3例中2例において,膿疱天蓋部をハサミで切除した組織標本にジアスターゼ消化PASおよびグロコット染色を施したところ,胞子の存在が容易に確認された.また全例において膿疱内容物を同様に染色した塗抹標本で,胞子が認められた.以上の結果から,上述の2法は生検や培養の手技を必要とせず,Malassezia毛包炎の簡易診断法として有用であると考えられた.

今月の症例

Sjögren症候群を合併したamyloidosis cutis nodularisの1例

著者: 伯野めぐみ ,   稲積豊子 ,   井出瑛子 ,   山田晴義 ,   仲弥 ,   多島新吾 ,   原田敬之 ,   西川武二

ページ範囲:P.569 - P.572

 57歳,女.高IgG血症,RA,RAHA,抗核抗体,抗SS-A抗体陽性など種々の血清免疫学的異常を伴い,amyloidosis cutis nodularisの皮疹が出現した約1年後,Sjögren症候群の合併が明らかとなった1例を報告した.躯幹に多発する結節は,病理組織学的に,真皮全層にびまん性,一部塊状,血管付属器周囲性にアミロイドの沈着を認め,PAP法にて抗AL(κ)抗体のみ軽度陽性を示した.その後,眼球,口腔内乾燥症状出現,精査の結果Sjögren症候群と診断した.血清免疫学的異常を伴う皮膚アミロイドーシスでは,Sjögren症候群の合併を常に考慮しつつ経過観察が必要であると考えた.

症例報告

胸壁に生じた皮膚腺病の1例

著者: 木花いづみ ,   寺木祐一 ,   橋詰寿律

ページ範囲:P.573 - P.575

 55歳男性の胸壁に生じた皮膚腺病の1例を報告した.初診の1週間前,突然右乳頭下方に鶏卵大の皮下結節が出現,発赤,軟化してきた.切開にて半透明な淡黄色膿の排出を認め,初診の10日後には胸骨上部にも同様の結節の新生を認めた.組織学的にはラングハンス型巨細胞を混じた類上皮細胞,リンパ球主体のびまん性細胞浸潤と広汎な壊死を認め,膿,生検皮膚よりヒト型結核菌が分離された.抗結核剤による治療開始2カ月後,右鎖骨上部にも膿瘍の新生を認めたが,その後経過良好で,10カ月後の現在瘢痕治癒の状態である.既往歴,家族歴に結核はなく,精査でも原発巣となる肺結核,骨結核は認められなかった.胸壁,腹壁結核性膿瘍について簡単にまとめた.

Crohn病にみられた多発性膿疱性病変

著者: 村田恭子 ,   寺嶋野美 ,   檜垣祐子 ,   川島真

ページ範囲:P.577 - P.579

 30歳,女性.1983年にCrohn病,1989年に全身性エリテマトーデスと診断.1986年より顔面に膿疱,丘疹が出没.1992年2月上旬より消化器症状を伴い顔面,頸部,上胸部に紅暈を伴う膿疱が多数出現した.組織学的に毛嚢中心性に角層下膿疱および表皮下膿瘍の形成と,真皮の血管,毛嚢周囲,膠原線維間に好中球を主体とする細胞浸潤を認めた.皮疹はDDSの投与で徐々に軽快した.Crohn病に伴う稀な膿疱性病変と考えた.

長期臥床患者の四肢末端に多発した,乾癬様組織像を呈した角化性丘疹

著者: 小澤宏明 ,   只木行啓 ,   田上八朗

ページ範囲:P.581 - P.583

 脳血管障害のため長期にわたって臥床している患者の四肢末端に角化傾向の強い紅色丘疹が多発した症例を経験した.個々の皮疹は丘疹であったが,典型的な尋常性乾癬様の組織像を呈した.皮疹出現から2年半の間に,薬物投与との関連や,明らかな悪性腫瘍の合併は見られなかった.何らかの免疫学的機序,さらに,末梢循環動態の異常を原因として推察した.

Tethered cord syndromeに伴う足部潰瘍の1例

著者: 田村俊哉 ,   和田隆 ,   山本明美 ,   広川政己 ,   松尾忍 ,   飯塚一 ,   代田剛

ページ範囲:P.585 - P.587

 22歳,男性.Tethered cord syndrome(脊髄係留症候群)に伴った足部潰瘍の1例を報告した.生下時から腰仙部に弾性軟の皮下腫瘤があり4歳時に手術を受けた.16歳頃から跛行,18歳頃から内反凹足変形が出現し,初診の1年前から内踝,外踝,踵,足底に潰瘍が多発してきた.神経学的に両膝以下の知覚低下,下腿の筋力低下,アキレス腱反射の消失を認めた.MRIで第3,4腰椎の位置にintradural lipomaを認め,脊髄円錐は第4腰椎のレベルにあり,脊髄終糸の肥厚が示された.足部潰瘍は本症の3〜14%に認められ,足部の知覚低下,変形と血管運動神経の機能異常が発症の誘因となる.難治性,再発性の足部潰瘍の場合には本症も念頭において診断を進める必要があると思われる.

Hydroa vacciniformeの1例—紫外線UVAおよびUVBの混合照射による誘発

著者: 今淳 ,   花田勝美 ,   橋本功

ページ範囲:P.589 - P.591

 5歳女児にみられたhydroa vacciniformeの1例を報告した.Dermaray®(M-DMR-100型,クリニカル・サプライ社)による皮疹誘発試験の結果では,UVA(27.0J/cm2)およびUVB(210mJ/cm2)3日連続の重複照射部のみに紅斑,丘疹および小水疱がみられ,組織学的にも病変部と類似の皮疹が誘発された.しかしUVA単独およびUVB単独照射部には色素沈着と軽度の紅斑のみを認めた.Hydroa vacciniformeは一般に,その作用波長がUVA領域にあるとされていることから,更に長時間のUVA照射による誘発の可能性が残されるが,自験例の皮疹誘発試験からはUVBによる光増強作用様の機序が関与していると推測した.

塩酸チリソロールによる光線過敏症の2例

著者: 村田雅子 ,   伊原泰子 ,   西岡和恵

ページ範囲:P.593 - P.595

 77歳,男(症例1)および68歳,女(症例2)に生じた塩酸チリソロールによる光線過敏症を報告した.症例1は内服30日,症例2は44日より,露光部に一致して瘙痒性紅色皮疹が出現し,臨床的には紅斑,丘疹,鱗屑などの湿疹型反応を呈した.塩酸チリソロールの内服照射テストが陽性であった.

Annular elastolytic giant cell granulomaの3例

著者: 葉狩しのぶ ,   宮本亨 ,   葉狩良孝 ,   島雄周平

ページ範囲:P.597 - P.599

 症例1:56歳,女性.1年前より右手背に環状紅斑が出現した.組織学的に環状紅斑部で弾力線維は消失し,隆起部では弾力線維を貪食した巨細胞と組織球,リンパ球よりなる肉芽腫像を認めた.症例2:76歳,男性.10年前より左足背に環状紅斑が出現し2年前より徐々に全身に拡大した.体幹四肢に径3〜8cmの環状紅斑が多発していた.左上腕および右大転子部の紅斑部はいずれも膠原線維間に多核巨細胞,組織球,リンパ球よりなる肉芽腫像が見られたが,浸潤の程度は大転子部のほうが少なかった.内臓悪性腫瘍の合併は認めない.症例3:63歳,男性.1週間前より両手背に環状紅斑が出現.組織学的に弾力線維を貪食した巨細胞を含む肉芽腫像が見られ,紅斑部と内部で弾力線維の減少を認めた.Hankeらの提唱したannular elastolyticgiant cell granulomaの限局型と全身型と思われる3例を報告した.

小児に発症したmulticentric reticulohistiocytosis

著者: 川岸尚子 ,   山本明美 ,   橋本喜夫 ,   松尾忍 ,   飯塚一 ,   杉山貞夫

ページ範囲:P.601 - P.604

 患者は3歳,男児.生後8カ月ころから,前胸部に自覚症状を伴わない黄褐色の丘疹が出現し,徐々に四肢にも多発してきた.1歳10カ月ころから,膝,手首,指関節の腫脹,疼痛が出現した.組織学的に皮膚および滑膜の両部位にリンパ球,組織球,巨細胞を混じた肉芽腫様構造を認めた.電顕ではミトコンドリアやライソゾームに富む組織球が浸潤細胞の主体を占め,Langerhans cell granuleは認められなかった.関節症状と皮膚症状を一元的にとらえ,multicentric reticulohistiocytosis(MR)と診断した.自験例はわれわれが調べえた限りではMRの最年少発症例と考えられる.

陰茎に発生した静脈脈瘤

著者: 大草康弘 ,   田中信 ,   溝口良順 ,   笠原正男

ページ範囲:P.605 - P.607

 59歳,男性の陰茎に発生した静脈脈瘤の1例を報告した.陰茎背面ほぼ中央に1.5×1.5×1cmの弾性やや硬の皮下腫瘤が認められ,組織学的に腫瘤は静脈が嚢腫状に拡張したものであり,内腔には血球が認められた.本症は極めて稀な疾患であるが,表在性病変の場合は皮膚科医が扱う機会もあること,また本症は血液嚢胞,静脈拡張症,静脈脈瘤と呼ばれているが,この中では臨床および組織学的所見より静脈脈瘤の名称が最も適切であることを述べた.

角化傾向の著しいエックリン汗器官癌の2例

著者: 中村浩昭 ,   千葉知恵 ,   今村優子 ,   赤坂俊英 ,   瀬川郁雄 ,   松田真弓 ,   昆宰市 ,   佐藤恵

ページ範囲:P.609 - P.611

 79歳男性の右大腿に生じた,所属リンパ節転移,遠隔転移を呈したeccrineporo-duct carcinomaの1例と,48歳男性の右足背に生じた潰瘍を呈するporo-duct—spirocarcinomaと考えた症例を組織学的,免疫組織化学的,電顕的に検索した.両症例とも組織学的に癌真珠の形成や個細胞角化,squamous eddy形成など著しい角化傾向を示した.エックリン汗器官由来の腫瘍では,まれに角化を示すこともあるが,本症例のごとく著しい角化を示すことは珍しく,特に症例2では有棘細胞癌との鑑別を必要とした.今までに報告された有棘細胞癌の中にもエックリン汗器官由来の腫瘍が含まれる可能性があると考えた.

Poroid hidradenomaの1例

著者: 徳橋至 ,   森田昌士 ,   千葉紀子 ,   品川俊人 ,   橋爪鈴男

ページ範囲:P.613 - P.615

 36歳,女性の頭頂部に孤立性の皮下腫瘤出現.組織は大きな多房性の嚢腫で,その壁は小型の細胞質の少ないporoid cellsからなり,Abenoza & Ackermanが提唱したporoid hidradenomaと診断した.本症は最近eccrine poromaのうちPinkus型,Smith-Coburn型やWinkelmann & McLeod型に加えて第4番目の亜型として注目されている.Poroid hidradenomaは本邦ではsolid cystic hidradenomaやdermalduct tumorの名称で報告されているものがあり,本疾患概念に対する認識が必要と思われた.

脂腺母斑上に生じた多彩な組織像を呈した二次性腫瘍

著者: 原田洋至 ,   郡司裕則 ,   岩月啓氏 ,   小野一郎 ,   金子史男

ページ範囲:P.617 - P.619

 19歳,女性.出生時より左側頭部に存在する脂腺母斑上に,13歳頃より有茎性腫瘤が出現し徐々に増大した.腫瘤を切除し,後日脂腺母斑を全摘したところ,腫瘤部は2種の異なる組織像を示し,母斑内は2カ所の微小二次性腫瘍の発生が認められた.母斑内に認められた2つはsyringocystadenoma papilliferum(SAP)とsebor—rheic keratosisであった.腫瘍部の大部分はtrichilemmomaに類似の組織像を示し,その一部にSAPに類似する部分が存在したが,いずれも典型的な組織像ではなかった.脂腺母斑上に発生する二次性腫瘍は非常に多彩であり,その成因として多くの皮膚構成成分が関与し特有の生活史を有する母斑としての特殊性による可能性が考えられた.

外陰部に多発した基底細胞上皮腫の1例

著者: 川島淳子 ,   石河亜紀子 ,   早川和人 ,   清水宏 ,   多島新吾 ,   西川武二

ページ範囲:P.621 - P.623

 65歳,女性の大陰唇に多発した基底細胞上皮腫(以下BCE)の1例を報告した.組織学的には,発生した3個のBCEは,充実型,表在型,嚢腫型であり,多様性がみられた.嚢腫型BCEの女子外陰部発生例は検索しえた限り本邦例において自験例のみであった.多発の原因としては,約30年前,子宮癌摘出術後に受けた放射線照射の影響が考えられた.昭和40年から平成4年までの女子外陰部BCEの本邦報告例につき,若干の統計的考察も加えた.

Clear cell acanthoma

著者: 西堀由喜子 ,   石河晃 ,   清水宏 ,   橋本隆

ページ範囲:P.625 - P.627

 56歳,女性に生じたclear cell acanthomaの1例を報告した.右大腿屈側に直径4mm大の扁平軽度隆起性の赤褐色角化性皮疹を認めた.組織学的には,胞体の明るい大型の細胞集団の増殖により不規則な表皮肥厚を示し,健常部との境界はきわめて明瞭であった.腫瘍細胞はグリコーゲンを豊富に有しており,免疫組織化学的検索では,ケラチン染色およびEMA(epithelial membrane antigen)染色陽性,CEA(carcinoembryonic antigen)染色陰性の結果を得た.Clear cell acanthomaの発生由来には諸説あり,未だ確定されていない.CEA染色陰性よりエックリン汗管由来ではないとする説もあるが,EMA染色陽性であることからエックリン汗管由来説も完全には否定できず,更なる検討を要すると考えられた.

Malignant clear cell hidradenomaの1例

著者: 武田光 ,   安斎眞一 ,   今泉勤 ,   後藤一史 ,   青木武彦 ,   近藤慈夫

ページ範囲:P.629 - P.632

 79歳,女性の鼻背部右側に生じたmalignant clear cell hidradenomaの1例を報告した.臨床像はケラトアカントーマ様で,組織学的には特徴的な明るい胞体をもつ比較的大型の細胞および好酸性胞体とクロマチンに富む核をもつ細胞からなる腫瘍巣を認めた.腫瘍細胞はジアスターゼ消化性PAS染色陽性,免疫組織化学的にcar—cinoembryonic antigen,epithelial membrane antigenが管腔部で陽性,S−100蛋白が一部の腫瘍細胞で陽性,gross cystic disease fluid protein−15は陰性.電顕的に微絨毛を有する細胞内管腔および細胞間管腔がみられた.

肝細胞癌の眼瞼皮膚転移例

著者: 岡田善胤 ,   三浦隆

ページ範囲:P.633 - P.635

 眼瞼に転移した肝細胞癌の1例を報告した.患者は66歳,男性.2週間前より,右上眼瞼外側に小指頭大で半球状に隆起した鮮紅色腫瘤が出現した.組織像は真皮中層から皮下脂肪織に及ぶ被膜を持たない境界明瞭な腫瘍塊で,大型の明るい核および好酸性の豊かな細胞質を持つ組織球様の細胞と少数の巨細胞で構成されており,多数の核分裂像が認められた.組織学的にマイボーム腺癌との鑑別が困難であったが,皮疹の出現が急激で,腫瘍塊には線維性被膜がなく,またα—フェトプロテイン染色陽性という組織所見から肝細胞癌の皮膚転移と診断した.

連載

Clinical Exercises・15—出題と解答

著者: 宮地良樹

ページ範囲:P.583 - P.583

治療

低反応レベルレーザーを用いた結節性痒疹の治療

著者: 森田秀樹 ,   河野純朗 ,   森崎清一郎 ,   喜多野征夫

ページ範囲:P.637 - P.639

 36歳男性,および19歳女性の結節性痒疹患者に対して出力60mW,波長830nmの低反応レベルレーザーを用いて加療した.その結果,瘙痒感の軽減と結節の平坦化を認めた.低反応レベルレーザーによると思われる副作用は認められなかった.低反応レベルレーザー療法は痒疹の新しい治療法の一つに加えることができる可能性があると考えられた.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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