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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科48巻9号

1994年08月発行

文献概要

今月の症例

皮疹出現時に高ケトン血症を認めた色素性痒疹の1例

著者: 寺木祐一1 木花いづみ1

所属機関: 1平塚市民病院皮膚科

ページ範囲:P.767 - P.769

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 皮疹の出現と高ケトン血症との間に強い関連を認めた色素性痒疹の1例を報告した.患者は25歳の女性で,2度にわたり発作性に皮疹の出現を認めたが,皮疹出現時に一致して尿中ケトン体強陽性を示した.一方,皮疹の消褪時ではケトン体は減少,ないしは陰性となった.初回の皮疹出現時はストレスのため食欲がなく2週間で体重が5kg減少したエピソードがあったが,2回目に皮疹が出現した時は食欲は元に戻り,体重の減少は認めていなかった.皮疹出現時では血中の各ケトン体分画も著明に上昇.また糖尿病などの基礎疾患は認めなかった.自験例を過去の全身性変化を伴ったいくつかの報告例(断食ごとに,ダイエット中に,糖尿病に伴い発症した症例)と合わせると,色素性痒疹の発症誘因の一つとして糖尿病的(飢餓)代謝が強く関与している可能性が強く示唆される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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