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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科49巻11号

1995年10月発行

雑誌目次

カラーアトラス

AIDS患者にみられた伝染性軟属腫

著者: 山下浩子 ,   川島眞 ,   赤城久美子

ページ範囲:P.862 - P.863

患者 24歳,男性
初診 1992年11月24日

原著

慶應大学皮膚科における類天疱瘡患者の病型分類とその治療の検討

著者: 橋本隆 ,   河原由恵 ,   西堀由喜子 ,   西川武二

ページ範囲:P.865 - P.870

 過去5年間に当教室にて経験した39例の類天疱瘡の病型をまとめ,その治療との関係を検討した.内訳は全身性類天疱瘡16例,前脛骨型限局性類天疱瘡3例,狭義の限局性類天疱瘡(皮疹が1ないし2ヵ所に限局)5例,瘢痕性類天疱瘡7例,結節型類天疱瘡3例,その他5例であった.全身性類天疱瘡では副腎皮質ホルモン内服,ミノサイクリン・ニコチン酸アミド併用,ないし両者の併用により重篤な副作用なく全例が軽快した.前脛骨型限局性類天疱瘡ではいずれもミノサイクリン・ニコチン酸アミド併用が著効し,狭義の限局性類天疱瘡ではいずれも無治療ないし副腎皮質ホルモン外用剤のみでコントロール可能であった.結節型類天疱瘡,瘢痕性類天疱瘡はいずれも病変が長期にわたって存在する傾向があり新しい治療法の開発が必要と思われた.今後,類天疱瘡患者,とくに高齢者,基礎疾患を有する場合にはミノサイクリン・ニコチン酸アミド併用内服療法を試みるべきと考えられた.

先天性爪甲白斑の1家系

著者: 亀井恵理 ,   角田孝彦

ページ範囲:P.871 - P.874

 36歳の男性を発端者とする先天性爪甲白斑の1家系を報告した.母親,祖母,曾祖母にも同様の所見があり,この家系内では常染色体優性の遺伝形式を示している.親子とも爪甲の遠位に正常色の爪甲が横走する部分的爪甲白斑を20本すべての爪甲に呈し,発端者にのみ知能発育不全とてんかんが合併していた.本邦でははじめての先天性爪甲白斑の家系と思われる.文献的考察を加え,後天性爪甲白斑についても言及した.

連載

Clinical Exercises・31—出題と解答

著者: 伊藤雅章

ページ範囲:P.875 - P.875

 61 この脱毛疾患の病態の記載について,正しい組み合わせはどれか.
  ①脱毛巣には切れ毛がみられ,これらは成長期毛とみられる.

Practical English for Busy Physicians・22

著者:

ページ範囲:P.931 - P.931

セットフレーズの上手な使い方,USのラボについて
 セットフレーズを正確に使用することができたら,これは豊かなイメージと言語の熟練者であるということを相手に伝えることができますが,もし間違って使用した場合は使用者の意図とは別なおかしなイメージを与えてしまうことになります.例えば湿疹がひどくなってしまった患者についての論文の中で,“after she exposed herself to UVA at a tanning salon”というのを見ましたが,残念ながらこの場合は完璧に間違っており,“to expose oneself”は一般的に,すべき場所でない所で突然裸を披露することであり,つまり路上でレインコートを開けて裸をみせるという意味です.幾つかの点において,特に洋服や宝石に関しては英語のほうが日本語より便利な動詞があります.英語では“wear”は大変便利な動詞で,ほとんどの衣服,宝石,靴に使用できます.しかし日常会話では“put on”も使用しています.日本語の“洋服を着る”,“靴を履く”,“ネックレスをする”と比較してみて下さい.前出の論文の中に“used a necklace”とありましたが,これはネックレスをするという意味だと思い,すぐに“wore a necklace”と変えました.ネックレスの場合にも“use”を使うことができますが,これはわざと痣を隠すためだとか,財産を見せびらかすためというような場合です.

今月の症例

骨欠損を伴った爪甲下類上皮嚢腫の1例

著者: 野田徳朗 ,   上西宏

ページ範囲:P.876 - P.878

 81歳,女性.1985年頃より左環指爪甲下に粟粒大の白濁があるのに気づいていた.1990年1月ごろより同部に痛みを感じるようになり,5月より疼痛をきたすようになった.当院外科を受診し,穿刺を受けたところ,白色の内容物を認めた.当科紹介時には左環指末節は腫脹し,骨X線像では末節骨の欠損が認められた.抜爪し,腫瘍全摘を行った.病理組織は爪甲下の類上皮嚢腫であった.

Mycobacterium marinum感染症—胃潰瘍を合併し皮疹の急性増悪をきたした1例

著者: 田中一匡 ,   田中るみ子 ,   瀧川雅浩

ページ範囲:P.879 - P.881

 症例は57歳,男性.8歳頃,外傷後右膝部に紅色丘疹が出現し,徐々に拡大してきた.57歳の時,胃潰瘍で内科へ入院したが,その6ヵ月前より皮疹は急速に増大した.初診時右大腿下部から右下腿にかけて融合傾向のある多数の結節が認められた.病理組織像では表皮肥厚と真皮上層にリンパ球,組織球を主体とする細胞浸潤を認めた.PAS染色,Ziehl-Neelsen染色では共に菌体を認めなかった.生検組織の一部を小川培地で培養し,Mycobacterium marinumと同定した.温熱療法と塩酸ミノサイクリンの投与で治癒した.

症例報告

血漿交換療法が奏効した天疱瘡の2例

著者: 伊野法秋 ,   望田篤 ,   藤田優 ,   添田耕司 ,   小高通夫

ページ範囲:P.883 - P.885

 症例1:83歳,男性.1991年6月より瘙痒を伴う水疱が出現し,全身に拡大した.落葉状天疱瘡と診断.プレドニゾロンを最大60mg投与したが軽快せず.抗体価も上昇したため,二重濾過血漿交換療法(double filtration plasmapheresis,以下DFPP)を計7回施行した.終了2週間後には皮疹はすべて色素沈着となった.その後も再燃はない.症例2:23歳,女性.1990年10月,口腔内に糜爛出現.さらに四肢に水疱出現.近医で尋常性天疱瘡の診断のもとに約2年間にわたりプレドニゾロンにて加療されていたが,増悪,緩解を繰り返していた.1992年9月に皮疹再燃し,プレドニゾロンを増量するも軽快しないため当科に紹介された.長期のステロイド投与による肥満,moon face,脂肪肝のためプレドニゾロンの増量を控え,DFPPを計8回施行した.頭部にわずかに皮疹を残して略治した.その後も皮疹の増悪はない.

クリオグロブリン血症の1例

著者: 赤坂俊英 ,   森康記 ,   昆宰市

ページ範囲:P.887 - P.889

 82歳,男性のtype Iクリオグロブリン血症の1例を報告した.クリオグロブリンの定量は低値を示したが,多彩な症状を呈し,顔面,耳朶,四肢末梢などの特に露出部位に紫紅色斑,紫斑局面,潰瘍,皮膚壊死,網状皮斑,Raynaud症状などを認め,これらの症状は冬期の極寒時に増悪した.type Iクリオグロブリン血症では,症状の程度はクリオグロブリンの濃度よりは寒冷暴露の時間と温度によると考えた.

前胸部に巨大紅斑を形成したneutrophilic dermatosis

著者: 藤田弘 ,   小楠浩二 ,   今泉俊資

ページ範囲:P.890 - P.892

 65歳,男性.骨髄異形成症候群のため内科入院中に,右鎖骨部の中心静脈栄養チューブ固定部に紅斑が出現した.組織学的には真皮ほぼ全層にわたって好中球の浸潤を認め,滲出液や皮膚組織よりの細菌・真菌・抗酸菌培養は陰性であった.プレドニゾロン40mg/日投与では全く改善傾向を示さず,白血球減少に対して投与された顆粒球コロニー刺激因子製剤の投与時期に一致して紅斑は前胸部に拡大し,巨大紅斑が形成された.メチルプレドニゾロン1g3日間投与によるステロイドパルス療法にて皮疹は著明に改善した.自験例は当初Sweet症候群やbullous pyoderma gan—grenosumを疑ったが,最終的にはCaughmanらの提唱したより包括的な概念であるneutrophilic dermatosisとするのが適切ではないかと考えた.

橋本病に発症したnecrobiosis lipoidicaの1例

著者: 野村慶子 ,   二宮凉子 ,   溝口志真子 ,   川越りか ,   児浦純義

ページ範囲:P.894 - P.896

 橋本病に発症したnecrobiosis lipoidicaを報告した.左下腿に約4×1.9cmと直径約1.5cm,赤褐色の局面を形成している.周囲が堤防状に隆起している部分もある.毛細血管拡張も認められた.免疫染色でフィブリノーゲンの沈着が認められた.糖尿病と自己免疫疾患の合併は珍しいものではないが,橋本病とnecrobiosis lipoidicaの併発は報告がなく,合併は偶然だと思われた.

汎発性脱毛症と尋常性魚鱗癬を伴った扁平苔癬によるtwenty-nail dystrophy

著者: 谷口彰治 ,   忽那晴央 ,   谷幸子 ,   河平多宏 ,   濱田稔夫

ページ範囲:P.898 - P.900

 症例は7歳,女児.小児喘息の既往がある.約2年前より頭部から始まり眉毛,睫毛さらに全身性に及ぶ進行性の脱毛を認めた.また数ヵ月前から指趾の全爪甲が一様に粗糙となった.病理組織学的には,爪甲の変化は扁平苔癬によるものであった.扁平苔癬によるtwenty-nall dystrophyおよび汎発性脱毛症と診断した.さらに本例は,両下肢の尋常性魚鱗癬および低ガンマグロブリン血症を合併していた.過去にこのような合併例の報告はなく,考察を加えた.

Melkersson-Rosenthal症候群の1例

著者: 阿達直子 ,   萩原千也 ,   赤坂俊英

ページ範囲:P.901 - P.903

 54歳の男性に発症したMelkersson—Rosenthal症候群の1症例を報告した.本症候群の報告例は多いが,そのほとんどが3主徴のうち2つ以下の不全型である.自験例は再発性の口唇腫脹,末梢性顔面神経麻痺,皺襞舌の3主徴のすべて揃った比較的稀な完全型であった.組織学的には類上皮細胞性肉芽腫は認めず,非特異的な真皮の浮腫の像を呈した.治療でトラニラストがやや奏効したと思われた.

Ehlers-Danlos症候群IV型の1例

著者: 馬場直子 ,   佐々木哲雄 ,   中嶋弘 ,   村澤章子 ,   中谷行雄

ページ範囲:P.905 - P.908

 臨床的にEhlers-Danlos症候群IV型と考えられた17歳女子の症例を報告する.血管が透見される薄い皮膚,四肢に多発するケロイド様瘢痕,脊椎側弯,鳩胸,下顎骨・指趾末節骨の変形,歯の異常,難聴,近視,乱視,心血管壁や弁の異常が認められ,ほぼ全身に及ぶ結合織の異常が疑われた.皮膚生検組織の電顕的観察では,毛細血管基底層の多層化が認められたが,コラーゲン細線維の異常は認められなかった.I,III,IV,VII型コラーゲンおよびフィブロネクチンの局在を免疫組織学的に検索し,同年代同部位の正常皮膚と比較したが,明らかな形態的異常は見いだせなかった.患者皮膚由来の培養線維芽細胞が産生するI型およびIII型コラーゲンに,明らかな定性的・定量的異常は認められなかった.Ehlers-Danlos症候群IV型の臨床像の多様性は,病因論的にも多様性を示し,種々のCOL3A1 gene mutationが報告されているが,本症例でも遺伝子レベルでの解析が今後の課題と思われる.

進行性対側性紅斑角皮症と診断した1例

著者: 加藤直子 ,   松江啓子

ページ範囲:P.910 - P.912

 進行性対側性紅斑角皮症と診断した男児例を報告した.症例は11歳の男児で,乳児期から掌蹠に皮疹が出現した.5歳時から両下腿に軽度の角化性紅斑を認め,ほぼ左右対称性に徐々に中枢性に拡大し落屑性紅斑性局面を形成した.ステロイド剤の外用治療にほとんど反応しない.家族歴を認めない.尋常性乾癬,毛孔性紅色粃糠疹,掌蹠角化症などとの鑑別が必要であった.

胃悪性リンパ腫を伴った皮膚アレルギー性血管炎の1例

著者: 奥本勇二 ,   中村浩二 ,   高橋淳

ページ範囲:P.913 - P.915

 46歳,男性.初診の4ヵ月前より両下腿に紫斑を繰り返し,尿蛋白陽性を認めた.組織学的に真皮全層にleukocytoclastic vasculitisを認めた.蛍光抗体直接法はすべて陰性.内視鏡検査で胃体上部に扁平隆起(4×6cm)を認めた.組織学的に悪性リンパ腫(LSG分類;びまん性中細胞型)と診断され,胃全摘術を施行した.自験例を胃悪性リンパ腫に伴って発症した皮膚アレルギー性血管炎として観察しているが,術後も安静が保てないと紫斑を繰り返す状態が続いていることより,現在のところ皮疹と悪性リンパ腫との因果関係は明らかではない.

バザン硬結性紅斑の1例

著者: 野口雅博 ,   三浦隆

ページ範囲:P.918 - P.920

 50歳,男性.約4ヵ月前から右下腿伸側に潰瘍を伴う鶏卵大硬結性紅斑が生じた.組織学的に真皮下層から皮下脂肪織にかけて小葉性脂肪織炎が認められ,血管炎および乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫が認められた.ツベルクリン反応は強陽性.胸部X線撮影で異常はなく,組織片の抗酸菌培養は陰性.イソニアジド,リファンピシンの抗結核剤の投与に対し著効を示し,約3カ月後瘢痕治癒した.

ボクサー耳に生じたchondrodermatitis nodularis helicisの1例

著者: 松江啓子 ,   加藤直子

ページ範囲:P.921 - P.923

 75歳,男性.過去にボクサーとして顔面,頭部に殴打が繰り返され,両耳介は硬く肥厚性に変形し,いわゆるボクサー耳を呈していた.臨床的に右耳輪に直径7mmの有痛性の小結節を認め,病理組織学的に中心部の表皮の欠損と,その部からの好酸性に染色される壊死物質の排出像を示した.真皮内には管腔の拡張と増生,および肉芽組織が形成され,真皮下層には層状の軟骨膜の肥厚を認めた.これらからchondrodermatitis nodularis helicis(CNH)と診断した.CNHの誘因として凍瘡,熱傷,ヘルメットの常用などがあげられているが,ボクサー耳に生じた報告はない.自験例は,ボクサー耳に認められる肥厚した軟骨膜の存在が,perforating disorderに属する疾患と考えられる本症の一因となったと考えられた.

糖尿病に合併した非クロストリジウム性ガス壊疽の1例

著者: 笹井収 ,   松永純 ,   高橋和宏 ,   梅村周香

ページ範囲:P.925 - P.927

 コントロール不良の糖尿病がある42歳の女性が左足の疼痛を主訴に受診.左足底母趾球部に直径1cm大の潰瘍と,その周囲に圧痛を伴う紅斑を認めた.局所の処置と抗生剤の内服でいったん症状は軽快傾向を示したものの,約2週間後に今度は同足背にも紅斑,疼痛が出現してきたため入院.培養の結果,起炎菌に感受性があると思われた抗生剤の点滴静注を行ったにもかかわらず病状は進行し,4日後には足背の一部が水疱を伴う壊死に陥った.触診にてガス壊疽を疑いX線写真を撮ったところ皮下にガス像を認めた.ただちにデブリードマンを行い局所を開放したところ,病勢の進行は止まった.壊死組織の細菌培養の結果,B群連鎖球菌,モビルンクス属が陽性だったがクロストリジウム属は陰性.デブリードマン後は局所の消毒,抗生剤の全身投与,湿布,潰瘍治療剤の外用で保存的に経過を観察している.本症では診断がつきしだい壊死組織の除去と局所の開放を行う必要を強調したい.

下肢に生じたMycobacterium marinumによる非定型抗酸菌症の1例

著者: 石崎純子 ,   皆川陽美 ,   島貫洋子 ,   尾立冬樹 ,   原田敬之

ページ範囲:P.928 - P.930

 25歳,女.右下腿2ヵ所と,右臀部に上行性に皮下結節が出現した.いずれも経過中に自潰し滲出液の排出をみた.組織学的に抗酸菌を証明し,培養にてMycobacterium(M.)marinumを分離同定した.ミノサイクリン内服にて治癒した.下肢に生じたM.marinum感染症は稀であり,症例を報告するとともに,若干の文献的考察を加えた.

肺結核が先行したくすぶり型成人T細胞白血病の1例

著者: 板村論子 ,   原田鐘春 ,   谷岡栄 ,   三原一郎 ,   新村眞人 ,   溝呂木ふみ

ページ範囲:P.932 - P.935

 48歳,男性,宮城県出身.肺結核の治療中紅皮症様皮疹が出現した,抗結核剤による薬疹と考え薬剤中止,ステロイドの投与を行ったが,皮疹はステロイドの投与量に相関して軽快,増悪を繰り返した.抗HTLV-I抗体陽性,HTLV-I proviral DNA陽性,LDH軽度上昇,細胞性免疫の低下を認めた.臨床経過,病理組織からくすぶり型成人T細胞白血病と診断した.

帯状疱疹後のreflex sympathetic dystrophy syndromeにより片側性に皮膚硬化の増強が見られた全身性強皮症の1例

著者: 安藤葉子 ,   水谷仁 ,   清水正之 ,   山上温子

ページ範囲:P.937 - P.939

 帯状疱疹後神経痛に伴う上肢のreflex sympathetic dystrophy syndrome(RSDS)の合併により皮膚硬化が一側性に増強した全身性強皮症の1例を報告した.53歳女.3年前より四肢の皮膚硬化が出現.某病院で全身性強皮症と診断されプレドニゾロンの投与を受けていたところ,当科初診の5ヵ月前,右第1および第2胸髄領域に帯状疱疹を生じた.右上肢の疼痛が持続し,皮膚硬化および屈曲拘縮が増強.次第に左右差が明らかになり当科に入院した.下肢の皮膚硬化は対称性であるにもかかわらず,右上肢では皮膚の萎縮性変化,屈曲拘縮が強く,加えて骨脱灰を認める.右上肢では本来の強皮症の線維化機転にRSDSによる血管攣縮等の血管運動障害により線維化機序が増強したと考えた.

巨大尖圭コンジローマの1例

著者: 高橋亜由美 ,   永井弥生 ,   田村敦志 ,   石川治 ,   宮地良樹

ページ範囲:P.940 - P.942

 27歳,妊婦の外陰部に生じ,電気メスによる切除および凝固術により略治せしめた巨大尖圭コンジローマの1例を経験した.本症において以前から種々の治療法が行われているが,従来の報告では外科的切除を有効とするものが多い.しかし,外科的切除を行い,なお再発した報告も散見され,また,機能的な面からも安易に外科的切除を選ぶべきではないと考えた.

治療

炭酸ガスレーザーによる汗管腫の治療

著者: 橋本透 ,   上出良一 ,   新村眞人

ページ範囲:P.943 - P.945

 汗管腫は,美容的な面で治療を希望する患者が多いが,従来の治療法では満足のいく結果が得られないことが多かった.今回,我々は汗管腫19例に炭酸ガスレーザーを用いて臨床的に良好な結果を得,病理組織学的にもそれを確認した.液体窒素冷凍凝固術,電気凝固術,皮膚剥削術,腫瘍切除術に比し,簡便で術後の疼痛もほとんどなかった.炭酸ガスレーザーは,汗管腫に対して今後使われて然るべき治療法であると思われた.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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