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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科49巻11号

1995年10月発行

文献概要

症例報告

Ehlers-Danlos症候群IV型の1例

著者: 馬場直子1 佐々木哲雄2 中嶋弘2 村澤章子3 中谷行雄3

所属機関: 1神奈川県立こども医療センター皮膚科 2横浜市立大学医学部皮膚科学教室 3横浜市立大学医学部附属病院病理部

ページ範囲:P.905 - P.908

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 臨床的にEhlers-Danlos症候群IV型と考えられた17歳女子の症例を報告する.血管が透見される薄い皮膚,四肢に多発するケロイド様瘢痕,脊椎側弯,鳩胸,下顎骨・指趾末節骨の変形,歯の異常,難聴,近視,乱視,心血管壁や弁の異常が認められ,ほぼ全身に及ぶ結合織の異常が疑われた.皮膚生検組織の電顕的観察では,毛細血管基底層の多層化が認められたが,コラーゲン細線維の異常は認められなかった.I,III,IV,VII型コラーゲンおよびフィブロネクチンの局在を免疫組織学的に検索し,同年代同部位の正常皮膚と比較したが,明らかな形態的異常は見いだせなかった.患者皮膚由来の培養線維芽細胞が産生するI型およびIII型コラーゲンに,明らかな定性的・定量的異常は認められなかった.Ehlers-Danlos症候群IV型の臨床像の多様性は,病因論的にも多様性を示し,種々のCOL3A1 gene mutationが報告されているが,本症例でも遺伝子レベルでの解析が今後の課題と思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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