文献詳細
文献概要
症例報告
高齢者の水痘再感染の1例
著者: 田中信1 大草康弘1
所属機関: 1静岡赤十字病院皮膚科
ページ範囲:P.324 - P.326
文献購入ページに移動 70歳,男性.軽度痒みのある紅斑を伴った小水疱17個が全身—右眼囲に7個,左頬部に1個,胸部に3個,背部に4個,両大腿伸側に1個ずつ散在していた.水痘または汎発型帯状疱疹が疑われたが,1)水疱の分布をみると右眼囲の集簇は一見帯状疹を思わせるが,その部に帯状疱疹独特の痛みがなく帯状疱疹ではないと考えられ,2)眼囲を含めほぼ同時に全身に水疱が出現したため水痘とした.また水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)抗体価はCF32×,IAHA64×,FAIgG陽性,IgM陰性であったため水痘の再感染と考えた.VZV抗体価により水痘の再感染と帯状疱疹が鑑別できないかと考え,帯状疱疹と成人水痘のVZV抗体価を測定し,VZVIgG抗体が陽性でCF抗体8×以上,IAHA抗体32×以上ならば水痘の再感染と診断できると考えた.
掲載誌情報