文献詳細
特集 最近のトピックス1995 Clinical Dermatology 1995
II 皮膚疾患の病態
文献概要
細胞死はネクローシスとアポトーシスに大別されるが,アポトーシスとは形態学的に細胞の縮小と核の凝縮,断片化を認め,生化学的に染色体DNAのヌクレオソーム単位の断片化をきたす細胞死の過程である.ネクローシスが受動的な不慮の細胞死ならば,アポトーシスは能動的なプログラムされた細胞死といえる.アポトーシスは種々の刺激により誘導されるが,同時に多くのアポトーシス関連遺伝子により制御されていると考えられる.現在,アポトーシスは発生や分化といった生理学的現象のみならず,自己免疫疾患や癌などのさまざまな病態にも深く関与していることがわかってきた.皮膚においても苔癬化組織反応をきたす疾患や腫瘍など多くの疾患で表皮細胞のアポトーシスの所見が観察されているが,皮膚の生体防御や病変の進展などに重要な役割を果たしているものと推察される.今後,皮膚疾患においても分子レベルでの発展が期待される.
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