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特集 最近のトピックス1995 Clinical Dermatology 1995 II 皮膚疾患の病態
アトピー性皮膚炎の易感染性
著者: 今山修平1
所属機関: 1九州大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.60 - P.64
文献購入ページに移動 アトピー性皮膚炎患者皮膚では,汗とともに体表へ分泌される分泌型免疫グロブリンA(sIgA)が著しく低下していること,その量は発汗とは無関係に一定に保たれ,エクリン腺細胞が発現するsecretory componentの量に比例することを見いだした.涙液中のsIgAも低下していたが,唾液中にsIgAが少ないことは以前から知られていた.周知の通りsIgAは消化管や気道の粘液に含まれ,粘膜における感染防御の第一線を担う.皮表へ分泌されたsIgAも皮表における感染防御を担うと考えられることから,本症患者において皮膚・粘膜のsIgA分泌がともに低下していることは皮膚・粘膜の易感染性を招来すると考えられる.近年,患者の皮膚・粘膜における異常な細菌叢(とくに黄色ブドウ球菌)が,本症の発症に直接関与する可能性が示唆されていることから,こうした異常と本症の病態との関係についても略述した.
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