文献詳細
症例報告
文献概要
71歳,男性.40年前炭鉱夫の職業歴があり,塵肺に罹患していた.初診の2カ月前,口腔内糜爛で初発し,全身各所に水疱が生じた.組織,螢光抗体法所見とも尋常性天疱瘡であった.抗表皮細胞間抗体以外にも抗核抗体,抗ss-DNA抗体が陽性で,ツ反陰性,リンパ球幼若化試験が減弱化といった免疫異常が認められた.ベタメサゾン4mg/日内服で皮疹は改善し,ステロイド減量中であったが,約4カ月後皮疹が再燃した.再入院後ステロイド増量し経過良好であったが,アスペルギルス肺炎を合併し急速に呼吸不全状態となり死亡した.塵肺と自己免疫疾患の合併はよく知られているが,自己免疫性水疱症についての報告はなく,その意義について検討した.
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