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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科49巻8号

1995年07月発行

症例報告

妊娠のたびに環状紅斑が多発した2例

著者: 井上稲子1 市米善郎1 清島真理子1 森俊二1 柳原誠2

所属機関: 1岐阜大学医学部皮膚科学教室 2福井医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.595 - P.598

文献概要

 症例1:32歳,妊娠6ヵ月の主婦.第1子妊娠時に丘疹性紅斑が出現し,出産後消退す.第2子妊娠1〜2ヵ月頃より,腹部に瘙痒が出現し,6ヵ月頃には同部に瘙痒のある環状紅斑が多発したため,当科初診.抗核抗体20倍,抗SS-A抗体,抗SS-B抗体ともに陰性.ステロイド剤の外用のみで出産とともに消退した.その後,第3子妊娠時にも同様の皮疹が出現し,出産後消退.症例2:27歳主婦.第1子妊娠時8ヵ月頃環状紅斑が出現,出産とともに消退した.第2子妊娠21週より両上肢に手掌大までの環状紅斑が多発し,ステロイド剤の外用にて出産後消退した.なお,RA29IU/ml,抗核抗体陰性.組織学的所見では,表皮は軽度肥厚し,一部不全角化を認めた.真皮上層はやや浮腫状で,血管周囲にはリンパ球主体の細胞浸潤を軽度に認めた.両者ともに薬剤の既往はなかった.2症例とも自己免疫異常を伴っており,妊娠という条件が加わって,環状紅斑が発症した可能性が考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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