臨床皮膚科49巻8号

1995年07月発行

症例報告

下腿に生じた悪性外毛根鞘腫の1例

著者： 安孫子孝宏¹ 西田徹¹ 小関伸¹ 橋本秀樹¹ 近藤慈夫¹

所属機関： ¹山形大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲：P.653 - P.655

文献概要

　78歳，女性．左下腿に生じた悪性外毛根鞘腫の1例を報告した．初診時，70×47mm，境界明瞭で一部麋爛を伴う扁平隆起性の病巣を認めた．臨床的にBowen病が疑われたが，組織より腫瘍細胞は胞巣辺縁から中央に向かい，basaloid cellからPAS陽性物質を含むclear cellに移行し，核の異型性も認められた．本腫瘍の発生部位は約半数が顔面であり，自験例のごとく下腿に生じた例は比較的稀有なものと考えられた．