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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科50巻10号

1996年09月発行

雑誌目次

カラーアトラス

色素失調症(Bloch-Sulzberger症候群)

著者: 山本敬三 ,   鈴木和幸 ,   辻卓夫

ページ範囲:P.766 - P.767

患者 日齢1の女児
初診 1993年2月10日

今月の症例

非イオン性造影剤ioversolによる薬疹の1例

著者: 浦博伸 ,   山田伸夫 ,   今門純久 ,   五十棲健 ,   島田眞路

ページ範囲:P.769 - P.772

 Ioversol(Optiray®)による薬疹の1例を報告した.Ioversolによる薬疹の報告例は本邦2例目と思われる.皮疹の臨床像は,これまで報告されてきた非イオン性造影剤の薬疹の典型とされる多形紅斑型とは異なり,一見固定薬疹も疑わせるものであった.パッチテストではioversol,iohexol(Omnipaque®)は陽性,iopamidol(Iopamiron®)は陰性であったが,皮内テストでは3剤すべてが陽性であり,iohexol,iopamidolに対して交叉感作の成立も疑われた.

症例報告

Neumann型増殖性天疱瘡の1例

著者: 山田孝宏 ,   大谷道廣 ,   和泉智子 ,   清島真理子 ,   北島康雄

ページ範囲:P.773 - P.775

 Neumann型増殖性天疱瘡の1例を報告した.症例は51歳,女性.会社員.主訴は口腔粘膜の難治性糜爛.初診の約2年前から,口腔粘膜の難治性糜爛が生じ外用剤にて加療されていた.病理組織上,粘膜上皮に異型性が見られたためYAGレーザーにて焼灼.同時に行った腋窩部の暗赤褐色増殖性丘疹の皮膚生検組織,直接・間接蛍光所見より増殖性天疱瘡と診断.経過中に弛緩性水疱,糜爛面が全身に汎発したためNeumann型と考えた.プレドニゾロン,DDS内服,二重濾過膜血漿交換療法によって急速に軽快した.本邦報告例の文献的考察も加えた.

疱疹性歯肉口内炎を契機に顕症化した尋常性天疱瘡

著者: 小川朝恵 ,   大塚幹夫 ,   岩月啓氏 ,   金子史男

ページ範囲:P.777 - P.779

 41歳,女性.初診の2週間前より口唇および口腔に疼痛を伴うびらんが出現した.血清中の抗1型単純疱疹ウイルス抗体価の上昇と,局所の塗抹検鏡での巨細胞の確認およびウイルス培養が陽性であったことから疱疹性歯肉口内炎と診断した.Aciclovirによりやや軽快したが,疼痛を伴う口腔内びらんが増強し開口困難となり,続いて体幹に瘙痒感を伴う水疱とびらんが出現した.組織所見では基底細胞層直上の棘融解を認め,130kDの表皮細胞抗原と反応する自己抗体を示したことから尋常性天疱瘡と診断した.単純ヘルペス感染症を契機に尋常性天庖瘡が顕症化した点で興味深い.

180kD類天疱瘡抗原NC16a domainとの反応を確認しえた妊娠性疱疹の1例

著者: 河原由恵 ,   橋本隆 ,   西川武二 ,   禾紀子

ページ範囲:P.781 - P.784

 各種免疫学的検索を施行しえた妊娠性疱疹の1例を報告した.妊娠性疱疹は蛍光抗体法,免疫ブロット法等の所見から,今日では妊娠に伴う類天疱瘡とする考え方が一般的となっている.我々はヒト表皮抽出液,180kD類天疱瘡抗原(BP180)のNC16a domainのrecombinant proteinを用いた免疫ブロット法を施行し,両疾患の共通抗原性を確認した.なお,自験例は通常のヒト正常皮膚を用いた蛍光抗体間接法,補体法にて血中抗体およびHG因子が検出されず,1M食塩水剥離皮膚を用いて両者を検出しえた.妊娠性疱疹を疑うが通常の蛍光抗体間接法,補体法にて陽性所見が得られない場合,1M食塩水剥離皮膚を用いて両者を行うことは有意義であると考えられた.

慢性関節リウマチに合併した壊疽性膿皮症の1例

著者: 佐々木裕子 ,   山崎雄一郎 ,   西海正彦

ページ範囲:P.785 - P.787

 71歳,女.慢性関節リウマチに合併した壊疽性膿皮症の1例を報告した.慢性関節リウマチに合併する壊疽性膿皮症は,本邦では調べ得た範囲内で自験例を含め12例であった.また治療として自験例ではプレドニゾロン内服とプロスタグランディンE1点滴静注の併用が奏効した.

潰瘍性大腸炎に伴った壊疽性膿皮症の1例

著者: 橋本慶子 ,   池田美智子 ,   南光弘子 ,   松本政雄 ,   井上泰

ページ範囲:P.789 - P.791

 29歳,男性.1993年9月に潰瘍性大腸炎(以下UC)と診断され,内服治療中.1994年4月頃より自己判断にて内服薬減量していたところ,粘血便,発熱,関節痛とともに皮疹出現,急速に潰瘍化した.初診時,腹部・背部に計10個の膿疱と潰瘍が認められ,臨床,病理組織から壊疽性膿皮症(以下PG)と診断した.HLA B52.DR2が陽性.サラゾピリン,プレドニゾロンにて全身症状,皮疹ともに2週間で略治した.UCとPGの合併例につき過去の報告を集計した結果,UCにおけるPGは,UCの発症ないし再燃に一致して出現する傾向がうかがわれた.HLAについては実施数が少なく,PGの併発例に有意か否かは,今後の検索が待たれる.

Interferon-alpha投与により誘発された尋常性乾癬

著者: 秋葉均 ,   吉川康之 ,   元木良和 ,   菊池智 ,   金子史男

ページ範囲:P.794 - P.796

 患者は68歳,男性.腎細胞癌でinterferon—alphaによる治療中に尋常性乾癬の発症した1例を報告した.臨床的に殿部を中心に,頭部,四肢,躯幹に鱗屑を伴う紅斑性局面を認めた.病理組織学的には,表皮の肥厚,表皮突起の延長と血管周囲のリンパ球浸潤などを認め,乾癬の定型像を示し,免疫組織学的に,表皮細胞にHLA-DR,ICAM−1陽性像が認められた.

尿崩症を伴い結節性紅斑様皮疹を呈したサルコイドーシスの1例

著者: 小川晃史 ,   松井朋子 ,   貝鳴光信 ,   赤坂俊英 ,   昆宰市

ページ範囲:P.798 - P.800

 23歳,男性.尿崩症症状とともに両下腿の浸潤性紅斑および環状紅斑を呈した皮膚サルコイドの結節性紅斑様皮疹の1例を報告した.皮疹の組織像は非乾酪性類上皮細胞肉芽腫の所見を示し,血清ACE,リゾチーム値は高値,胸部X線,CT像で両側肺門部リンパ節腫大を認める.眼科的にも虹彩毛様体炎を認める.また,水制限試験で中枢性尿崩症の結果を得た.以上より,皮膚サルコイドの結節性紅斑様皮疹は組織像,臨床症状および眼症状を合併しやすいなどの特徴を有し,サルコイドーシスに伴う結節性紅斑とは明らかに区別されることを示した.さらに,自験例のような尿崩症を伴った皮膚サルコイドーシスについて若干の文献的考察を加えた.

経表皮排泄像のみられた局面型皮膚サルコイドの1例

著者: 奥芝幹代 ,   熊切正信 ,   清水忠道 ,   大河原章 ,   加藤元嗣

ページ範囲:P.802 - P.804

 尋常性乾癬様皮疹を示し,病理組織像で経表皮排泄像が観察されたサルコイドーシスの1例を報告した.ほぼ全身に爪甲大までの境界明瞭で表面に白色ないしは淡褐色の厚い鱗屑を付着する局面が散在する.臨床的には尋常性乾癬を思わせた.一部には辺縁がやや硬く隆起し,中央が萎縮性でわずかに陥没する小豆大までの丘疹も混在した.病理組織像では真皮乳頭層から網状層にかけて非乾酪壊死性類上皮細胞肉芽腫の集塊があり,一部に巨細胞を含む類上皮細胞塊が直接皮膚表面に露出する経表皮排泄像が認められた.ツベルクリン反応陰性のほかサルコイドーシスを示唆する所見はなく,BHL(−)であった.鼠径リンパ節からの病理組織像から非乾酪壊死性類上皮細胞肉芽腫の所見がみられた.

抗Borrelia burgdorferi抗体価が高値を示した限局性強皮症の2例

著者: 高橋慎一 ,   多島新吾 ,   西川武二

ページ範囲:P.805 - P.807

 抗Borrelia burgdooferi抗体価が高値を示した限局性強皮症の2例(症例1:下肢の線状強皮症,症例2:汎発性斑状強皮症)を経験した.症例1では,経口ペニシリン製剤投与3ヵ月行ったが,抗体価はIgG, IgMとも高値のままで,その後も右下肢の硬化・萎縮が進行し,発症9年後に右外反扁平足となった.症例2においても,経口ペニシリン製剤投与5ヵ月行ったが,IgG,IgM抗体価は高値のままであった.皮膚硬化は徐々に軽快傾向にはあったが,ペニシリンの効果というより,むしろ自然経過による変化と考えられた.これら2例においてB.bnrgdoiferi感染はなかったと考えられ,2症例とも抗核抗体陽性であることから,自己抗体の交叉反応により抗B.burgdoiferi抗体価が高値を示したものと推測された.

上気道感染に併発したアトピー性皮膚炎患者のblistering distal dactylitis

著者: 小松弘美 ,   青山浩明

ページ範囲:P.809 - P.812

 16歳,アトピー性皮膚炎に合併した男性の四肢に生じたblistering distal dactylitisの1例を報告した.本症は通常A群β溶連菌による手指末端の皮膚表在性感染症で,現在まで海外の症例を含め31例が報告されている.自験例では発熱,扁桃痛を生じた数日後に手足に限局した多発性水疱,膿疱が出現することを2回繰り返した.また,扁桃誘発試験を行ったところ明らかに皮疹の再燃を認めたことより誘因として病巣感染を考えた.なお,扁桃摘出後3ヵ月経過した現在皮疹の再燃は認めていない.

妊婦における水痘・帯状疱疹ウイルス感染症—長期観察しえた2症例の検討

著者: 五十嵐晴巳 ,   小粥雅明 ,   松山薫

ページ範囲:P.814 - P.816

 妊娠中期の水痘,妊娠初期の帯状疱疹の2例を報告した.2例とも高力価抗水痘・帯状疱疹ウイルス抗体含有免疫グロブリン製剤の投与が有効であり,満期正常産で正常児を出産した.現状では妊婦の水痘,帯状疱疹は今後増加することが予想され,それとともに水痘・帯状疱疹ウイルスによる,流早産,胎児の奇形,新生児の水痘,帯状疱疹の発症など種々の異常も増加する可能性がある.近年,免疫グロブリン製剤により,水痘,帯状疱疹罹患妊婦の治療が可能になっており,早期治療が望まれる.しかし,治療には限界があるため,妊娠可能年齢到達以前のワクチン接種の実現が不可欠である.

特異疹が長期にわたって先行した慢性骨髄単球性白血病の1例

著者: 岳尾基一 ,   稲沖真 ,   大竹茂樹

ページ範囲:P.817 - P.819

 67歳,男.1年半前から出現した前胸,背の浸潤性紅斑を主訴に受診した.生検標本で真皮に組織球様細胞の密な巣状の細胞浸潤があり,免疫組織化学的に単球系細胞の性格を示した.末梢血で単球増多(31%),骨髄で顆粒球系細胞の過形成,尿中および血清リゾチームの著明な高値が認められ,慢性骨髄単球性白血病と診断,皮疹はその特異疹と考えられた.自験例は長期にわたって先行した特異疹を主訴に皮膚科を受診し,白血病が発見された稀な例であると思われた.

4年間の完全寛解後再発した急性型成人T細胞白血病の1例

著者: 川口とし子 ,   西山貴郁 ,   杉田泰之 ,   長谷哲男 ,   中鳴弘

ページ範囲:P.821 - P.824

 46歳,男.掻痒感を伴う紅皮症にて当科を初診.急性型成人T細胞白血病(ATL)の診断で化学療法を施行,完全寛解導入に成功.完全寛解導入4年後に再発.再度化学療法で,部分寛解には導入できたが,再発後2ヵ月でDICを合併して死亡.初回治療では,dose intensityの点で十分であり,感染症などの合併症に対する治療も成功したことにより,完全寛解に導入できたと思われた.再発時は,薬剤耐性などを考えて過去に使用しなかったMCNUを用いたところ有効であった.急性型ATLの治療の困難な点につき,若干の考察を行った.

外陰部に生じた異所性子宮内膜症の1例

著者: 堺則康 ,   遠藤祐理子 ,   矢代加奈 ,   北島米夫 ,   横山泉 ,   伊東文行 ,   石原楷輔 ,   岩崎孝一

ページ範囲:P.826 - P.828

 29歳,女性の外陰部に生じた子宮内膜症の1例を報告した.皮膚科領域では腰部,腹壁瘢痕に生じた異所性子宮内膜症の報告が散見されるが,外陰部発生例は稀である.外陰部子宮内膜症報告例のうち記載の明らかな20例全例で分娩時会陰切開の既往が認められることから,発症原因として子宮内膜機械的移植説が支持されるものと思われる.

前立腺癌由来のSister Joseph's noduleの1例

著者: 小松平 ,   黒沢伝枝 ,   佐野克行 ,   宮井啓国 ,   吉田幸子 ,   中嶋弘

ページ範囲:P.829 - P.831

 76歳,男.初診の約4年半前に,前立腺癌にて泌尿器科において手術が施行された.2ヵ月前から,臍部に腫瘤が生じ,生検の結果,前立腺癌の皮膚転移と診断された.前立腺癌の皮膚転移は少ないといわれるが,臍転移は本邦初例と思われる.

陰嚢の有棘細胞癌

著者: 谷口彰治 ,   古川雅祥 ,   忽那晴央 ,   曽和順子 ,   石井正光

ページ範囲:P.832 - P.834

 症例は73歳,男性.左陰嚢部に45×35mm大の潰瘍を伴う腫瘤が生じ,切除したところ病理組織学的に分化型有棘細胞癌と診断された.患者は50歳頃から全身性の尋常性乾癬の診断にて,PUVA治療(内服および外用)を受け,総UVA照射量は,少なくとも2,000J/cm2と考えられた.職業性にコールタールや機械油などの暴露歴はなく,紫外線照射が誘因として最も考えられた.陰嚢部の有棘細胞癌は極めて頻度の低い疾患であるが,皮膚科医として光線治療の際には外陰部の十分な遮光を心がけるべきであると考えた.

Eccrine porocarcinomaの1例

著者: 花田智佳子 ,   我妻圭子 ,   大西誉光 ,   渡辺晋一 ,   高橋久

ページ範囲:P.837 - P.840

 46歳,男性の左下腿に生じたeccrine poro—carcinomaの1例を経験した.腫瘍は大きさ38×43×8mmでキノコのカサ状に隆起し,赤褐色調を呈していた.組織学的に腫瘍の一部は表皮と連続し,真皮深層まで不整形の腫瘍胞巣が増殖していた.腫瘍胞巣は核異型のあるporoma様細胞およびclear cellより構成され,一部に管腔構造を認めた.抗ケラチン抗体を用いた免疫組織化学的検索では,腫瘍は大部分が真皮内汗管へ,一部は分泌部へ分化していることが示唆された.

脂漏性角化症部に生じた基底細胞上皮腫の1例

著者: 宮本亨 ,   坂井直人 ,   葉狩良孝

ページ範囲:P.841 - P.843

 69歳,男性.右頬部に2年前より腫瘤を生じ,1年前より中央部に潰瘍を認めるようになった.辺縁部は主に肥厚型で一部に腺様型を伴う脂漏性角化症であった.中央潰瘍部は,充実型が主の基底細胞上皮腫であった.この両者の合併例の報告は現在まで30例(うち本邦は9例)と非常に少ない.今回の症例でも検索した限りでは両者の関係を強く示唆する所見はなかった.

爪下に生じたatypical blue nevus

著者: 新井達 ,   米元康蔵 ,   西山茂夫

ページ範囲:P.845 - P.847

 40歳,女性の左第2指の爪母爪下に生じたatypical blue nevusの1例を報告した.臨床的には境界明瞭な青黒色の軽度隆起した皮内腫瘤で,爪甲は同部から遠位側にかけて菲薄脆弱化しているものの,爪甲色素線条は認めなかった.組織学的には,真皮内で境界明瞭な腫瘍塊を形成し,細胞の大小不同,一部核の分裂像がみられたが,その密度,頻度は低い.細胞増殖型青色母斑の一型としてのatypical blue nevusと,悪性青色母斑との異同につき若干の考察を加えた.

連載

Clinical Exercises・42—出題と解答

著者: 渡辺晋一

ページ範囲:P.787 - P.787

 83 顔のシミを主訴に来院した患者に以下のような症状が見られた場合,肝斑以外の疾患を考慮しなければならない.正しいものを選べ.
  ①紅斑や瘙痒を伴う場合

Practical English for Busy Physicians・33

著者:

ページ範囲:P.825 - P.825

スペルの法則,病状表記,CD-ROMについて
 皆さんは子供の頃,色々な規則を学ぶ時どのようにされましたか.例えば30日と31日の月をどういうふうにして覚えましたか.アメリカでは,一種の子どもの歌ですが,“Thirty days hast September, April, June and November, all the rest have thirty one, except February”というのがあります.抑揚をつけて,歌うがごとく言うのですが,これは子どもにとって毎月の日数を覚えるのにとても楽しい歌です.こういった歌(詠唱)は世界中のどの国でもやっており,特に文字文化を持たない社会では大変重要な役割を果たしています.私も日米両国において子どもたちが“ABC”の歌を歌っているのを耳にします.これも大変有効な‘学習ソング’と言えるでしょう.

治療

脊髄損傷患者の仙骨部褥瘡に対する手術治療経験

著者: 大西誉光 ,   鈴木拓 ,   大隅正義 ,   長谷川恵 ,   渡辺晋一 ,   高橋久

ページ範囲:P.849 - P.851

 29歳,男性の脊髄損傷患者に発生した褥瘡を経験した.保存的治療に抵抗性で,その他の諸条件も満たしたため,手術適応と判断し手術を行った.潰瘍を一塊にして切除し,再建は菱形皮弁という単純な方法で行った.皮弁は良好な生着をみせたが,縫合線の一部に小さな瘻孔が出現し,そこよりの滲出液に悩まされた.褥瘡の手術の適応,方法,術後管理について反省を含め考察した.

印象記

「第95回日本皮膚科学会総会・学術大会」印象記

著者: 多田讓治

ページ範囲:P.852 - P.854

 第95回日本皮膚科学会総会・学術大会は,1996年6月13日〜15日に北海道大学・大河原章教授の会頭のもとに,ロイトン札幌(札幌市)で開催された.梅雨のない北海道の6月は,1年間のうちで最も素晴らしい季節と聞いている.梅雨空の蒸し暑い中国地方を抜け出し新千歳空港に降り立つと,そこは爽やかな別世界であった(13日は少々曇っていたが).空港から市内に向かうバスの窓からは山一つ見えず,立ち並ぶ家々の造りが中四国のそれとはかなり違う風景は,どこか外国に来た気分にさせてくれる.このまま学会でなく観光に行ければと思われた方は私だけではなかったであろう(不謹慎とお叱りを受けるかもしれないが).
 本学会は年々参加者数,演題数が増え,内容も盛り沢山のものとなってきたが,今回はこれまで以上に内容が多岐にわたり,さらに充実したものとなっていた.一般演題253,症例報告142,学術展示136の計531題で,招請講演者は46名,うち19名は国外からであった.参加登録者数は2,200余名とお聞きしたが,全参加者数は2,500名を超えていたものと思われる.これも日本皮膚科学会会員の生涯教育の場となるようにとのテーマを掲げられ,学会員の意に叶った会頭の企画・運営によるものであり,事務局長熊切正信助教授,実行委員長小林仁講師,そして関係諸先生方の熱意によるものであろう.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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