症例報告
指問白癬の3例
著者:
奥田長三郎1
伊藤雅章2
所属機関:
1済生会三条病院皮膚科
2新潟大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.903 - P.906
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症例1:64歳,女性.基礎疾患なし.左第2,3,4指間部に紅斑,鱗屑,浸軟,糜爛と掻痒があり,Epidermophyton floccosumを分離した.症例2:82歳,女性.悪性リンパ腫で通院中で,右第1指間に自覚症状のない落屑と小水疱を認め,Trichophyton rubrumを分離した.症例3:77歳,女性.脳梗塞で入院中で,両手の全指間から指の近位側面にかけて鱗屑と軽微な紅斑があり,自覚症状の有無は不明である.常時手を握っている.T.rubrumを分離した.指間白癬は,当科で過去5年間に経験した手白癬74例中,今回の3例のみ(4,1%)である.過去18年間に文献上確認し得た本邦症例報告3例を含めた6例を検討すると,大部分がT.rubrumに起因し,全例女性で,60〜80代に好発し,いずれも,一見,カンジダ性指間糜爛症を思わせるが,どの指間にも生じ得ることが特徴と考えられる.