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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科50巻11号

1996年10月発行

文献概要

症例報告

Cushing症候群患者にみられたヒト乳頭腫ウイルス57型による特異な巨大疣贅

著者: 本多章乃1 原弘之1 本庄三知夫1 落合豊子1 森嶋隆文1 松倉俊彦2

所属機関: 1日本大学医学部皮膚科学教室 2国立予防衛生研究所ウイルス第二部,腫瘍ウイルス室

ページ範囲:P.907 - P.910

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 副腎皮質腺腫によるCushing症候群を合併していた34歳,男性の右第IV, V趾に発症した,ヒト乳頭腫ウイルス57型による巨大疣贅を報告した.患者の第V趾は爪甲が埋没し,健皮がみられないほど疣贅が増大していた.液体窒素療法等にも抵抗性であった.皮膚が軽度萎縮性で毛細血管が透見されたこと,高血圧が指摘されたことから諸検査を施行した.その結果,血中・尿中コルチゾールの上昇とACTHの低下を認め,腹部エコーにより右副腎腫瘍が発見され,Cushing症候群と診断した.右副腎摘出後,疣贅は急速に消褪傾向を示し,約3ヵ月半で完全に自然消褪した.自験例はコルチゾール過剰状態のために,疣贅が巨大化したものと推察される.難治性の疣贅に遭遇したときには,基礎疾患の存在を考慮する必要があると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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