icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科50巻11号

1996年10月発行

治療

アルガトロバンが奏効した循環障害性難治性皮膚潰瘍の1例

著者: 石澤俊幸1 杉木浩1 安齋眞一1 三橋善比古1 近藤慈夫1

所属機関: 1山形大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.945 - P.947

文献概要

 70歳,女性.初診の23年前,乳癌のため左乳房切断術施行.その2年後,手術部の除痛を目的に神経遮断術を施行したが,左上肢の運動障害を残した.初診の2年前より,左手の手指に紅斑および水疱が生じ,潰瘍を形成して壊死に至り,左IV指の切断術を行った.その翌年の冬,左手に水疱,壊死が生じ,プロスタグランジンE1製剤を投与したが効果がなかった.この時,凝固時間の軽度上昇とトロンビン-AT III複合体の上昇が見られたことより,アルガトロバン(ノバスタン®)の点滴静注を施行したところ,トロンビン-AT III複合体の低下とともに臨床症状も改善した.その後も冬期に同様症状が出現するが,アルガトロバンの投与で軽快した.プロスタグランジンE1製剤にて十分な効果を呈しない皮膚潰瘍症例については,アルガトロバンの使用も考慮すべきであると思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら