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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科50巻12号

1996年11月発行

雑誌目次

カラーアトラス

CEA高値を示した転移性皮膚癌

著者: 西村雅恵 ,   鈴木加余子 ,   橋本公二 ,   吉川邦彦 ,   大和谷淑子

ページ範囲:P.958 - P.959

患者 65歳,男性
 既往歴 1980年に脳梗塞,以後軽度半身麻痺あり.

臨床統計

京都府立医科大学皮膚科における最近10年間の皮膚悪性腫瘍の統計的観察

著者: 上田英一郎 ,   岸本三郎 ,   安野洋一

ページ範囲:P.961 - P.966

 京都府立医科大学皮膚科において,1982年から1991年までの10年間に経験した皮膚悪性腫瘍329例につき統計学的検討を加えた.表皮系,皮膚付属器系,メラノサイト系,間葉系,網内系および癌皮膚転移につきそれぞれの症例数の分布,年代による症例数の変化などを検討した.皮膚悪性腫瘍患者は合計329名で,10年間の外来新患総数38,756名に対する頻度は0.85%であった.その内訳,表皮系悪性腫瘍195例(59.5%),メラノサイト系悪性腫瘍49例(14.9%),Paget病30例(9.1%),皮膚付属器系悪性腫瘍15例(4.6%),間葉系悪性腫瘍13例(4.0%),網内系悪性腫瘍12例(3.6%)および癌皮膚転移14例(4.3%)であった.

今月の症例

巨大な表皮嚢腫より発生し死亡に至った有棘細胞癌の1例

著者: 田口英樹 ,   布袋祐子 ,   木花いづみ

ページ範囲:P.967 - P.969

 77歳,女性の巨大な表皮嚢腫より発生し死亡に至った有棘細胞癌の1例を報告した.約40年前より増大する仙骨部の巨大な表皮嚢腫を3年前に近医にて切除.その後創の一部が潰瘍化し徐々に増大.初診時仙骨部に直径約20cmの辺縁隆起し白色結節の多発する汚穢な潰瘍を認め,病理組織学的に有棘細胞癌と診断した.発生母地として3年前に切除した表皮嚢腫の組織を再検したところ,壁の一部に悪性化がみられた.化学療法,放射線療法を併用したが2ヵ月後癌性胸膜炎にて死亡した.粉瘤は日常診療において頻繁に見る疾患であるが,大きいものや,臀部や四肢などの物理的刺激を受けやすい部位のもの,経過が長く感染や炎症を繰り返すもの,急激に増大するものでは悪性化を念頭において積極的に切除し,慎重に病理組織の検討を行うことが重要であると考えられた.

症例報告

塩酸チリソロールによる光線過敏型薬疹の1例

著者: 岳尾基一 ,   筒井清広

ページ範囲:P.971 - P.973

 76歳,女性.高血圧のため塩酸チリソロール(ダイム®)を内服開始約7ヵ月後に露光部に掻痒を伴う紅斑が出現.光照射試験ではUV-Bおよび可視光線に対する過敏性は認められなかったが,UV-A 2.6J/cm2照射で紅斑が誘発された.同剤の内服を中止し,光過敏性の消失を確認後,UV-A 3.9J/cm2を照射した光貼布試験では,ダイム®錠1〜20%含有日色ワセリン貼布部位に陽性反応が認められた.対照とした正常人5人では光貼布試験はいずれも陰性であった.常用量(20mg)およびその1/10量(2mg)の塩酸チリソロールを投与した内服照射試験では,いずれも照射部位に紅斑が誘発された.以上の成績より本症例を塩酸チリソロールによる光線過敏型薬疹と診断した.

MRSAによるブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群の2例

著者: 清水隆弘 ,   沖村博史 ,   古元礼子 ,   大村明子 ,   安井宏夫 ,   麻上千鳥

ページ範囲:P.975 - P.978

 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin—resistant Staphylococcus aureus,以下MRSA)により生じたブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(staphylococcal scalded skin syndrome)の2例を報告した.症例1:生後24日女児.10日前,右股部に紅色皮疹出現,しだいに全身に拡大.鼻腔・咽頭粘液よりMRSAを検出した.ホスホマイシン,セファクロル併用が有効であった.症例2:11ヵ月男児.2日前,頸部に紅色皮疹が出現,急速に体幹に拡大した.鼻腔・咽頭粘液よりMRSAを検出した.各種抗生剤無効で39℃前後の高熱が持続した.塩酸バンコマイシン投与により解熱し,皮疹も軽快した.

皮下腫瘍を形成した皮膚腺病の1例

著者: 安齋眞一 ,   長内和弘 ,   木村洋 ,   中村千春

ページ範囲:P.979 - P.981

 頸部リンパ節結核の治療中に後頸部に皮下腫瘍を合併した27歳女性例を報告した.膿の直接検鏡でGaffky 1号であったため,瘻孔形成前の皮膚腺病と診断した.約5ヵ月の抗結核剤投与の後,表面皮膚と後・深頸部リンパ節切除を行った.組織学的に病変部真皮とその直下のリンパ節に乾酪壊死を伴う類上皮肉芽腫が見られた.

BCGの副反応による皮膚腺病の1例

著者: 冨田浩一 ,   楠山法子 ,   黒川滋子 ,   夏目博宗 ,   脇田久史 ,   古川福実

ページ範囲:P.983 - P.985

 1歳6ヵ月,男児.生後9ヵ月時にBCG接種を受け,1ヵ月後より接種部の排膿,左腋窩リンパ節腫脹,さらに半月後,左鎖骨上リンパ節腫脹が生じた.一般抗生剤内服により接種部は1ヵ月後には痂皮化したが,左腋窩および左鎖骨上リンパ節腫脹は消退せず,特に左鎖骨上リンパ節は増大して皮膚に穿孔した.リンパ節生検の組織では,乾酪壊死巣に接してLanghans型巨細胞を伴う類上皮細胞肉芽腫を認めた.Ziehl-Neelsen染色は陽性であったが,結核菌培養は陰性,polymerasechain reaction(PCR)法で抗酸菌特異的DNAを検出した,イソニアジド150mg/日の内服で,8ヵ月後皮疹は軽快した.

非ホジキンリンパ腫の経過中にみられた原発性皮膚アスペルギルス症

著者: 寺嶋亨 ,   安永千尋 ,   本城貴子 ,   新藤季佐 ,   鈴木伸典

ページ範囲:P.987 - P.989

 54歳,男性.消化管原発の非ホジキンリンパ腫と診断され,化学療法施行中に右上腕に孤立性紅色丘疹を認めた.経過観察していたところ3日後には拡大し直径3cm大の壊死物質を付着する局面となったため生検を施行した.生検時300/mm3と著明な白血球減少を認めた.HE染色では壊死組織中に菌糸の増殖を認め,グロコット染色で菌糸が明瞭に染色された.培養でAspergillusflauusと同定した.壊死組織のデブリードマンとフルコナゾール全身投与により治癒した.原発性皮膚アスペルギルス症について考察を加えた.

在日外国人に発症した境界群らいの1例

著者: 成田浩巳 ,   新田悠紀子 ,   和泉眞藏

ページ範囲:P.991 - P.993

 48歳,男性,日系ブラジル人.1994年12月頃より主に躯幹,四肢に一部環状を呈する淡い紅斑が多発,全身皮膚のビリビリした疼痛あり.1995年4月より両上肢のしびれ感を認めた.両側大耳介神経および橈骨神経浅枝の肥厚が触知され,皮疹部および両側尺骨神経領域,両足5趾付近の知覚低下がみられた.皮膚塗抹菌検査および鼻粘膜スメアでらい菌陰性.皮疹部病理組織像で神経周囲および一部神経内に類上皮細胞,泡沫様細胞,リンパ球の混在した肉芽腫を認めた.抗酸菌染色で神経内に少数の陽性桿菌を確認.PGL-IおよびLAM-B抗原の免疫染色で肉芽腫内の残存神経中に陽性細胞が散見され,両者の血清抗体価も陽性を示した.以上よりBT群らいと診断した.最近の本邦におけるらい患者の発生状況について若干の文献的考察を加え報告した.

胆管癌を合併した水疱性類天疱瘡の1例

著者: 高田和美 ,   轟葉子 ,   江藤隆史 ,   戸田淨

ページ範囲:P.994 - P.996

 激しい瘙痒を伴う紅斑で発症し,経過中に胆管癌の合併を診断した類天庖瘡の1例を報告した.症例は76歳,男性.初診の1カ月前より全身に激しい瘙痒を伴う浮腫性紅斑が多発.その後,緊満性水庖が出現.組織学的に表皮下水庖,蛍光抗体直接法で,基底膜部にIgG,C3の沈着を認め,水庖性類天庖瘡と診断した.プレドニゾロン30mg/日内服を開始し軽快.しかし,臨床検査でCA 19-9が上昇.全身検索の結果,胆管癌を発見した.プレドニゾロンを漸減,中止後の胆管癌の進行にもかかわらず皮疹の再燃は認めなかった.

活性型ビタミンD3外用と海水浴により著明に改善した小児毛孔性紅色枇糠疹の1例

著者: 樋口哲也 ,   丸山隆児 ,   佐藤貴浩 ,   片山一朗 ,   西岡清 ,   宇田川晃

ページ範囲:P.997 - P.999

 症例は8歳,女児.5歳時より,両手掌に角化性局面が出現し,次いで粟粒大角化性丘疹が肘頭,膝蓋部に出現してきた.初診時,前額部,耳介後部,後頸部,背部に枇糠様鱗屑を付着したsalmon pink色の紅色局面を認め,周囲に毛孔一致性角化性紅色丘疹が散在していた.肘頭,膝蓋,手指の関節伸展部にも同様の丘疹が集簇し,手掌,足底にはびまん性の潮紅を伴う角化を認めた.活性型ビタミンD3(1α−24(OH)2D3)軟膏の外用を開始したところ一時皮疹は増悪したが,夏休みにプールを通い,一度海水浴に行った後,皮疹は軽快傾向を認め,外用開始4ヵ月には略治した.活性型ビタミンD3の外用と紫外線が毛孔性紅色粃糠疹の皮疹の改善に有効であることが示唆された.

シェーグレン症候群と橋本病を合併したペラグラの1例

著者: 阿部貴子 ,   織間咲千子 ,   山蔭明生 ,   山崎雙次 ,   杼窪精

ページ範囲:P.1000 - P.1003

 シェーグレン症候群と橋本病を合併したペラグラの71歳女性例を報告した.約30年前にもペラグラに罹患し加療されている.初診2ヵ月前より精神症状,両側手背と足背に暗紅色紅斑が出現,下痢と便秘を繰り返した.血中ニコチン酸4.1mg/dl,血中トリプトファン21.5nmol/mlと低下.T30.6ng/ml,T42.6μg/dl,TSH55.1μIU/ml,マイクロゾームテスト3200倍より橋本病と診断.また抗核抗体160倍,抗SS-A抗体4倍,シルマーテスト・ガムテスト陽性とシェーグレン症候群も合併していた.手背紅斑部の組織所見は,真皮上層の浮腫,血管拡張,リンパ球浸潤と非特異的であった.皮疹はニコチン酸の投与により著明に改善した.ペラグラ発症の誘因として,生来偏食のある老人が一人暮しになり,食餌性欠乏を来し,さらに橋本病やシェーグレン症候群など消化器病変を伴う疾患を合併したことが,本症の発症を助長したものと考えられた.

MRIにて微小脳梗塞が認められた抗カルジオリピン抗体陽性汎発性強皮症

著者: 久保正英 ,   尹浩信 ,   堤正彦 ,   江藤隆史 ,   竹原和彦 ,   石橋康正

ページ範囲:P.1005 - P.1007

 39歳,女.22歳時より,レイノー現象,皮膚硬化にて発症した抗topoisomerase I抗体陽性,diffuse typeの汎発性強皮症.25歳時よりd—ペニシラミン内服.梅毒血清反応偽陽性で抗カルジオリピン抗体陽性であったため血栓症状を検索したところ,MRIにて右放線冠に直径3cmの微小脳梗塞が認められた.自験例のように抗リン脂質抗体症候群が疑われる場合には積極的検査と治療が有効ではないかと思われた.汎発性強皮症における抗カルジオリピン抗体の陽性率について若干の文献的考察を加えた.

再発性多発性軟骨炎の1例

著者: 奥本勇二 ,   中村浩二 ,   高橋淳

ページ範囲:P.1009 - P.1011

 80歳,男性.10年前より慢性閉塞性肺疾患あり.2年前に眼球突出を指摘された.1ヵ月前より左耳介の圧痛を伴う発赤,腫脹が続いており,肺炎として入院中の内科より当科紹介.皮膚生検により再発性多発性軟骨炎と診断した.抗生剤を種々変更するもCRPが低下しないことより,再発性多発性軟骨炎によるCRPの上昇と考えた.プレドニゾロン20mg内服によりCRPが低下し,肺機能検査で閉塞性障害が改善し,胸部X線所見も改善した.

一卵性双生児の姉妹に発症した全身症状を伴う再発性脂肪織炎

著者: 高橋和宏 ,   杉内利栄子

ページ範囲:P.1012 - P.1014

 一卵性双生児の姉妹に発症した全身症状を伴う再発性脂肪織炎を報告した.症例1は19歳,女性,看護学生.C型肝炎患者血液が手の傷に付いたため,予防的にインターフェロン—α2A総量1500万単位の投与を受けた.その数週間後,熱発,関節痛,咳などの全身症状を伴い全身に皮下結節が出現した.組織学的に脂肪織炎と診断した.ステロイド内服で皮下結節は消退,全身症状も消失し,中止により再発することを繰り返している.症例2は19歳,女性,症例1の双子の姉.腹痛,倦怠感,関節痛に伴い,大腿部などに皮下結節が出現した.皮疹は数日で消失した.自験例より本症の発症に自己免疫の関与が示唆された.また症例1では,インターフェロン—α2Aが本症発症に関与した可能性を考えた.

ホルモン療法を試みた臍部子宮内膜症の1例

著者: 栗村理恵 ,   中島静香 ,   原田敬之 ,   黒島淳子

ページ範囲:P.1015 - P.1017

 46歳,女性の臍膀部子宮内膜症の1例.約7年前より臍部の小結節に気づく.初診の前日に結節部より血性の分泌物をみた.臍部に径18mm,常色,表面平滑,弾性硬のドーム状に隆起する結節が存在.組織所見では真皮深層に分泌期の子宮腺組織を認めた.精査により子宮体部にも子宮内膜症が発見された.治療はGnRHアゴニスト療法を施行し,症状の消失と病変部の縮小を認めた.自験例を含め,本邦報告62例について若干の検討を加えた.

瀰漫性皮膚肥満細胞症

著者: 青木恵理 ,   角田孝彦 ,   湯田文朗 ,   田中利治 ,   田上八朗

ページ範囲:P.1018 - P.1020

 7ヵ月,女児.生後6ヵ月頃より後頭部や腋窩に出現した水疱と膨疹が出没を繰り返して範囲が拡大してきた.ダリエ徴候が陽性であり,生検組織所見では,表皮下水庖がみられ,皮疹部および無疹部にも稠密な肥満細胞の浸潤を帯状に認めた.瀰漫性に皮膚病変があるため,全身検索を施行したが他臓器病変は認められず,瀰漫性皮膚肥満細胞症と診断した.皮疹はフマル酸ケトチフェンと塩酸シプロヘプタジンの内服で一時的に軽快するが,その新生は完全には抑えられていない.他臓器症状も含め,1年6ヵ月後の現在経過観察中である.

皮膚限局型ランゲルハンス細胞組織球症の2例

著者: 布袋祐子 ,   木花いづみ ,   高畑玲子 ,   東條雅宏

ページ範囲:P.1021 - P.1024

 症例1:4ヵ月,男児.生後3ヵ月より躯幹に常色から紅色丘疹が多発,頭部には脂漏性皮膚炎様皮疹を認めた.全身状態は良好.経過中点状出血や紫斑,脱色素斑が混じてきた.症例2:5ヵ月,男児.生後5ヵ月より躯幹に白色小丘疹が多発,頭部には軽度の鱗屑を伴う小丘疹を認めた.全身状態は良好.病理組織学的所見:症例1,2において表皮から真皮浅層にかけて核が大型で切れ込みを有す組織球様細胞の浸潤を認めた.これらの細胞はS−100蛋白陽性.電顕にてランゲルハンス顆粒を確認できた.全身検査を施行するも2例とも特に異常は認められず,それぞれ約1年および3ヵ月の経過で皮疹はほぼ消退した.以上より自験2例を皮膚限局型ランゲルハンス細胞組織球症と診断したが,症例2ではcongenital self—healing reticulohistiocytosisとの鑑別が必要であった.

Verruciform xanthomaの女性例

著者: 南辻泰志 ,   岸浩之 ,   嵯峨賢次 ,   増川丈児

ページ範囲:P.1026 - P.1028

 90歳,女性.約1年前より生じた左小陰唇の表面細顆粒状,淡紅色の有茎性腫瘤を主訴として受診した.組織学的に表皮の乳頭状増殖と真皮乳頭層の泡沫細胞の集簇があり,verruciformxanthoma(以下VX)と診断した.再発性の尿路感染症が存在したが発症への関与は不明である.口腔外に発生したVXの女性例は本邦6例目と極めて稀である.若干の文献的考察を加えて報告した.

多発性ボーエン病に生じたボーエン癌の1例

著者: 森弘樹 ,   梅田整 ,   片山一朗 ,   西岡清

ページ範囲:P.1030 - P.1032

 79歳,男性.職業,鳶職.戦時中,台湾の高雄に半年ほど居住歴あり.5年前より手,足,顔面にボーエン病が多発.下腿のボーエン病よりボーエン癌への進展が見られた.放射線照射療法など種々の治療を行うも多臓器転移にて死亡.梅毒反応は陽性.剖検にて右鎖骨上窩リンパ節,両側肺,第1・第2腰椎に転移巣を認めた.腫瘍細胞巣は抗パピローマウイルス抗体にて陰性.腫瘍組織の砒素定量は検出感度以下であった.

腋窩に生じた基底細胞上皮腫の1例

著者: 嶋崎匡 ,   土屋喜久夫 ,   安居千賀子

ページ範囲:P.1034 - P.1036

 69歳女性の腋窩に5〜6年前から一見皮膚線維腫様の広基性,半球状,弾性軟の一部黒色の腫瘍が単発.最近着衣の硬い繊維で機械的刺激を強く受けるまでびらん,潰瘍の形成がなく,いわゆる腫瘤型の特徴を有していた.組織学的に充実型および嚢腫型の基底細胞上皮腫(BCE)であった.BCEの腋窩発生例はごく少く,本邦では自験例を含めて14例であり,男5例,女9例,うち11例が60歳以上である.臨床像は結節型5,局面型7,局面に結節が加わった型2で,他の部位のBCEの臨床像と大差はなかった.一方組織像は全部あるいは一部に充実型を示すもの6例,表在型を示すもの5例で,表在型の頻度が他部位のBCEより多かった.

連載

Clinical Exercises・44—出題と解答

著者: 川島眞

ページ範囲:P.1028 - P.1028

 87 次の疾患のうち,抗好中球抗体(ANCA)の特異性が最も高く,病勢を反映するのはどれか.
  (A)全身性エリテマトーデス

Practical English for Busy Physicians・35

著者:

ページ範囲:P.1037 - P.1037

Wise,challengedの使用について,アメリカの開業医の運営の実態
 “Are you English language-wise challenged?”実はこの文の中に2つの興味深い比較的新しい文法の変化が含まれています.何かの単語の後にwiseを付け足すというのは,つまり〜についてという意味であり,バーの持主が“crowd-wise we're doing finetonight”と言えば,今夜は客の入りも上々であると言っている訳です.生徒たちが学業について“Grades inArt were OK but physics-wise he wasn't doing sowell”と言えば,もうお判りですね.この使用はそんなに悪い英語ではないのですが,以前と比べると少し減っては来ています.それでもまだまだよく見たり聞いたりしています.
 さて次のchallengedですが,これは最近すっかり流行している言葉で,意味は誰かが何かの能力に劣っているということです.“intellectually challenged”は,つまり丁寧な馬鹿という言い方であり,“educationally challenged”は学校を中退したとなり,“physically challenged”は身体上の問題があるということであり,“emotionally challenged”は精神上の問題を抱えているということになります.他にも“visuallychallenged”は盲目,“aurally challenged”は聾,“orally challenged”は唖となります.

治療

血漿交換療法が有効性を示した尋常性天疱瘡の2例

著者: 小林孝志 ,   福田知雄 ,   渡辺知雄 ,   山崎雄一郎 ,   猪芳亮 ,   荒木由紀夫 ,   城尚子

ページ範囲:P.1039 - P.1042

 75歳,男.数ヵ月前より全身に拡大した水疱に対してプレドニゾロン1日50mg内服に金チオリンゴ酸ナトリウム10mg筋注を併用したが効果不十分のため3日間血漿交換療法を行った.終了3日後から皮疹は軽快しはじめた.37歳,男.2カ月前より出現した全身の水疱に対してベタメタゾン1日3mg内服にて経過良好であったが,1日2mgまで漸減後水疱が再発した.3日間血漿交換療法を併用し,終了約1週間後より皮疹は軽快しはじめた.ステロイド内服にては効果不十分の天疱瘡に対し,血漿交換療法は試みるべき治療法と思われる.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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