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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科50巻12号

1996年11月発行

今月の症例

巨大な表皮嚢腫より発生し死亡に至った有棘細胞癌の1例

著者: 田口英樹12 布袋祐子1 木花いづみ1

所属機関: 1平塚市民病院皮膚科 2慶應義塾大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.967 - P.969

文献概要

 77歳,女性の巨大な表皮嚢腫より発生し死亡に至った有棘細胞癌の1例を報告した.約40年前より増大する仙骨部の巨大な表皮嚢腫を3年前に近医にて切除.その後創の一部が潰瘍化し徐々に増大.初診時仙骨部に直径約20cmの辺縁隆起し白色結節の多発する汚穢な潰瘍を認め,病理組織学的に有棘細胞癌と診断した.発生母地として3年前に切除した表皮嚢腫の組織を再検したところ,壁の一部に悪性化がみられた.化学療法,放射線療法を併用したが2ヵ月後癌性胸膜炎にて死亡した.粉瘤は日常診療において頻繁に見る疾患であるが,大きいものや,臀部や四肢などの物理的刺激を受けやすい部位のもの,経過が長く感染や炎症を繰り返すもの,急激に増大するものでは悪性化を念頭において積極的に切除し,慎重に病理組織の検討を行うことが重要であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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