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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科50巻12号

1996年11月発行

症例報告

シェーグレン症候群と橋本病を合併したペラグラの1例

著者: 阿部貴子1 織間咲千子1 山蔭明生1 山崎雙次1 杼窪精2

所属機関: 1獨協医科大学皮膚科学教室 2宇都宮中央病院皮膚科

ページ範囲:P.1000 - P.1003

文献概要

 シェーグレン症候群と橋本病を合併したペラグラの71歳女性例を報告した.約30年前にもペラグラに罹患し加療されている.初診2ヵ月前より精神症状,両側手背と足背に暗紅色紅斑が出現,下痢と便秘を繰り返した.血中ニコチン酸4.1mg/dl,血中トリプトファン21.5nmol/mlと低下.T30.6ng/ml,T42.6μg/dl,TSH55.1μIU/ml,マイクロゾームテスト3200倍より橋本病と診断.また抗核抗体160倍,抗SS-A抗体4倍,シルマーテスト・ガムテスト陽性とシェーグレン症候群も合併していた.手背紅斑部の組織所見は,真皮上層の浮腫,血管拡張,リンパ球浸潤と非特異的であった.皮疹はニコチン酸の投与により著明に改善した.ペラグラ発症の誘因として,生来偏食のある老人が一人暮しになり,食餌性欠乏を来し,さらに橋本病やシェーグレン症候群など消化器病変を伴う疾患を合併したことが,本症の発症を助長したものと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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