icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科50巻13号

1996年12月発行

文献概要

今月の症例

歯科用根管治療剤でアナフィラキシーショックをきたした1例

著者: 佐山重敏1 田邊洋1 木崎二郎1

所属機関: 1天理よろづ相談所病院皮膚科

ページ範囲:P.1067 - P.1069

文献購入ページに移動
 パラホルムアルデヒドを含む歯科用根管治療剤でアナフィラキシーショックを起こした39歳,女性の症例を報告した.全身に蕁麻疹が出現していたため皮膚科を受診したが,血圧が低下しており,蕁麻疹はアナフィラキシーショックの皮膚症状と考えられた.根管治療剤のas isおよびパラホルムアルデヒドを用いた皮膚テストで陽性所見を得,根管治療剤によるアナフィラキシーショックと診断した.パラホルムアルデヒドは体温で徐々にホルムアルデヒドを遊離し,ホルムアルデヒドに対してI型アレルギーが成立している個体でアナフィラキシーショックを誘発する.ホルムアルデヒドの遊離は極めて徐々であるため,根管治療剤の使用からショック症状の発現までは数時間を要し,即時型反応のメカニズムでありながら症状の発現までに長時間を要する点に留意すべきである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?