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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科50巻13号

1996年12月発行

文献概要

症例報告

ステロイド全身投与中に生じた後天性魚鱗癬の2例

著者: 今井健1 横関博雄1 片山一朗1 西岡清1

所属機関: 1東京医科歯科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.1081 - P.1084

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 ステロイドの大量投与が発症の誘因となったと考えられる後天性魚鱗癬の2例を報告した.症例1:11歳男.Schonlein-Henoch紫斑病および紫斑病性腎炎に対してステロイドパルス療法後プレドニゾロン60mg内服中に全身に魚鱗癬が出現.活性型ビタミンD3軟膏の外用が有効であった.症例2:15歳女.血小板減少症にて発症,抗RNP抗体高値を認め,ITP/MCTDの診断でプレドニゾロン55mgで開始し,漸減中に臀部,下肢を中心に魚鱗癬が出現.尿素軟膏が有効であった.2例とも家族歴なく,悪性腫瘍などの他の基礎疾患を認めず,他の薬剤投与もなく,ステロイドスルファターゼ値の低下は認められなかった.また魚鱗癬の消長は,原疾患の活動性と並行しなかった.このため,免疫異常をその基盤として,ステロイドの大量投与が魚鱗癬様皮膚の形成に何らかの役割を果たしている可能性が考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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