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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科50巻2号

1996年02月発行

文献概要

症例報告

ステロイドの外用で軽快した紅斑性天疱瘡の2例

著者: 今淳12 高橋正明1

所属機関: 1市立函館病院皮膚科 2弘前大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.141 - P.144

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 症例1は65歳,男性.1993年1月頃から顔面,胸背部および両上肢に紅斑が出現した.脂漏性湿疹と診断し,加療をしていたところ弛緩性水疱が出現.病理組織像は角層下水疱を認め,免疫蛍光抗体直接法で表皮細胞間にIgGとC3が沈着していた.症例2は57歳,女性.重症の糖尿病を合併.1994年8月頃から躯幹および両上肢に紅斑,弛緩性水疱と糜爛が出現した.病理組織像は顆粒層直下の表皮内水疱と棘融解細胞を認め,免疫蛍光抗体直接法で表皮細胞間にIgGとC3が沈着していた.症例1は皮疹が軽度であったこと,症例2は重症の糖尿病を合併していたことから,ともにステロイドの内服は行わず,外用療法のみを行ったところ,2例とも皮疹は速やかに軽快した.紅斑性天疱瘡では,ステロイド外用療法単独でも効果が期待でき,簡便で,かつ重篤な副作用も生じないことから,試みられるべき療法の一つと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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