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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科50巻5号

1996年04月発行

文献概要

特集 最近のトピックス1996 Clinical Dermatology 1996 2 皮膚疾患の病態

皮膚型脂肪酸結合蛋白質と表皮脂質代謝

著者: 渡辺力夫1 山本綾子1

所属機関: 1新潟大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.72 - P.77

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 脂肪酸結合蛋白質(fatty acid-biding pro-tein,以下FABP)はサイトゾルに存在し,脂肪酸の細胞内転送や代謝に関わる蛋白質として注目され,各臓器には独自のFABPが存在することが明らかにされていた.近年筆者らは,ラット正常皮膚から皮膚型FABP(cutaneous FABP,以下C-FABP)の単離およびそのcDNAのクローニングに成功した.C-FABPの皮膚における局在を免疫組織化学的に検討したところ,C-FABPは有棘層上層から顆粒層,および脂腺に特異的に発現していた.更に乾癬や有棘細胞癌においては,正常表皮に比較して広い範囲で強く発現していることもわかった.表皮と脂腺は脂質代謝が活発に行われている部位であることから,C-FABPはこれらの部位で他のFABPと同様に,脂肪酸の転送や代謝に機能していると考えられる.C-FABPの詳しい機能的解析は今後の課題であるが,表皮の脂質代謝の解明に新たなアプローチが可能になったと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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