文献詳細
特集 最近のトピックス1996 Clinical Dermatology 1996
3 新しい検査法と診断法
文献概要
爪郭毛細血管検査について,自験例の結果をまとめ他の報告と比較検討した.方法としては,定量的測定と多変量解析を用いた.全身性強皮症では毛細血管係蹄の拡大と係蹄間隔の延長が観察された.この所見は皮膚筋炎にも観察されたが,全身性エリテマトーデスには観察されなかった.強皮症の毛細血管像は87%が異常であり,強皮症patternと判定された.Raynaud症候群(以下RS)では,primary RS 54%,secondary RS 83%が強皮症patternであった.未分化結合組織病においても強皮症patternが80%に認められた.また,肺血管抵抗と有意な相関を示した.乾癬患者においては短くコイル状の毛細血管像が見られ,皮疹の面積率,爪郭部の乾癬皮疹,爪の点状陥凹,爪剥離と相関していた.糖尿病においては爪郭毛細血管に異常を認めたが,他の糖尿病性血管病変と相関を認めなかった.これらの結果は,爪郭毛細血管顕微鏡検査が,特に結合組織疾患の診断,病状把握に有用であることを示している.
掲載誌情報