文献詳細
特集 最近のトピックス1996 Clinical Dermatology 1996
4 治療のポイント
文献概要
掌蹠膿疱症は,手掌,足蹠という極めて特徴ある部位に好発する慢性再発性の皮膚疾患である.大多数の症例は扁桃の病巣感染が原因と考えられ,扁桃摘出により著効が得られる.少数例では歯牙・歯肉の感染病巣,金属アレルギー等の関与も考えられる.保存療法としてステロイドホルモン剤外用,PUVA療法,抗アレルギー剤,レチノイド,シクロスポリン内服等の治療が行われているが,対症療法の域を出ず,効果が不十分であったり,副作用のため使用が制限されるのが現状である.発症機序に関しては,患者血清中に扁桃上皮および掌蹠皮膚ケラチンと反応する抗ケラチン抗体が存在し,患者扁桃リンパ球は抗ケラチン抗体を産生するとともに皮膚に対し障害的に働くことが示された.また膿疱部皮膚浸潤リンパ球では特定のTCR-Vβ遺伝子が検出された.今後,本疾患は扁桃を病巣とした自己免疫疾患としてとらえられるものと考えられる.
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