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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科50巻5号

1996年04月発行

文献概要

特集 最近のトピックス1996 Clinical Dermatology 1996 4 治療のポイント

Skin bank—細胞バンクシステム

著者: 橋村悦朗12 東山真里1 吉川邦彦1

所属機関: 1大阪大学医学部皮膚科学教室 2大塚製薬(株)細胞工学研究所赤穂支所

ページ範囲:P.181 - P.184

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 近年,ヒト表皮細胞の培養技術の進歩に伴い,培養表皮の作製が可能になり,皮膚欠損部の治療法として,皮膚科・形成外科領域で臨床応用されつつある.我々は,表皮細胞単独での無血清下増殖培養法を確立し,さらに,分化培養条件下で5〜7層に重層化して作製した培養表皮シートを多くの疾患に適応し,良好な治療成績を上げている.培養表皮の利点は,表面積比較で数千倍にまで拡大培養できる点や細胞の保存が数年にわたって可能である点等が挙げられる.当科では,培養表皮のシート状での凍結保存を可能としたのに伴い,この培養表皮をオートグラフト,アログラフトを必要とする多くの皮膚疾患で利用すべく,スキンバンク(細胞バンク)の設立を目指したシステム化に取り組んでいる.すでに,安全性のチェックや培養法のルーチン化,関係書類の整備等の一連のシステム化をほぼ確立しており,現在,このシステムにのっとり臨床適用を進めている.現在までの適応症例は150例以上に上り,一部の疾患では非常に有効な治療方法となっている.本稿では,我々の培養表皮作製方法と本スキンバンク(細胞バンク)のシステムについて紹介したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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