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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科50巻6号

1996年05月発行

雑誌目次

カラーアトラス

梅毒性乾癬

著者: 南場裕美 ,   冨澤幸生 ,   小林衣子

ページ範囲:P.390 - P.391

患者 31歳,男
主訴 両手掌・足蹠の皮疹

原著

多形紅斑様白癬疹の免疫組織学的検討

著者: 黒川滋子 ,   冨田浩一 ,   鈴木陽子 ,   古川福実

ページ範囲:P.393 - P.396

 浸潤性紅斑を主訴とした白癬疹の3例を報告した.3症例とも,白癬病巣と真菌検査陰性の浸潤性紅斑が同時期に認められ,白癬の治療に伴い,浸潤性紅斑は消退した.1例について紅斑部の組織学的検索を行ったところ,血管周囲性CD3,4,25,45RO陽性リンパ球浸潤が特徴的で,HLA-DRが表皮細胞と浸潤細胞,血管内皮細胞に発現し,ICAM-1も表皮細胞間に認められた.多形紅斑様白癬疹の発生機序としてIII型アレルギー反応だけでなくIVアレルギー反応も経時的にからみあって皮疹を形成してゆくことが推測された.

急性感染性蕁麻疹13例の検討

著者: 角田孝彦 ,   出口雅敏 ,   青木恵理

ページ範囲:P.397 - P.401

 急性感染性蕁麻疹と思われる13例(入院8例,外来5例)を報告した.年齢は25〜67歳,男5例,女8例であった.発熱は37℃以上11例,感染症は咽頭・扁桃炎6例,胃腸炎2例,尿道炎1例などであった.経過中ステロイドの内服や注射に抵抗,悪化したものは9例みられた.1万以上の白血球増多8例,好中球増多70%以上11例,CRP0.5以上10例,ASOは6例中2例で上昇がみられた.治療は通常の治療に加え抗生剤もしくは抗生剤とステロイドの併用が有効であった.

連載

Clinical Exercises・38—出題と解答

著者: 渡辺晋一

ページ範囲:P.401 - P.401

 75 痛みを伴うことが少ない皮膚腫瘍はどれか.
   (A) angioblastoma

Practical English for Busy Physicians・29

著者:

ページ範囲:P.419 - P.419

Itchyとscratchyについて,英語と米語の違いについて
 最近,添削を依頼されて読んだ論文の中で“vomiting up blood”と“infiltrate of neutrophils”というのがありましたが,もう少し科学的な印象を与えるものにしたらよいと思い,“hematemesis”と“neutrophilic infiltrate”に訂正しました.もちろん著者は私が訂正した単語をよくご存じだと思いますが,何故かその人の語彙の中に入っていなかったようです.そこで私としては,皆さんの英語が特に医学分野において,よりうまくなるよう良いアドバイスをしなくてはなりません.そこで私の一番のお薦めは,もっと英語で書かれている医学雑誌を読んだらよいということです.もちろん外国語で書かれた皮膚科雑誌を読むというのは決して楽しいこととは言いがたいのですが,そうすることによってもっと自然にうまく書けるようになります.つまり“read more, write better”です.

今月の症例

蚊アレルギーに悪性リンパ腫を合併した1剖検例—EBウイルスとの関連性について

著者: 大森謙太郎 ,   小野雅史 ,   幸田衞 ,   植木宏明 ,   定平吉都

ページ範囲:P.403 - P.406

 幼少時から蚊アレルギーがあり,17年後に悪性リンパ腫を発症し死亡した1例を報告した.症例は31歳の男性.14歳のときより蚊刺部が水疱,潰瘍化し,度々高熱と全身リンパ節腫脹をきたしていた.31歳の時,発熱と全身倦怠感を主訴に来院.DICを併発,急速な経過で翌日に死亡した.剖検の結果,リンパ球系悪性腫瘍の存在が確認され,腫瘍細胞はEBER-1をプローブとするin situ hybridization法で陽性であった.蚊アレルギー,リンパ球系悪性腫瘍,慢性活動性EBウイルス感染症の関連性について若干の考察を行った.

前腕に脳回転状腫瘤を認めたプロテウス症候群の1例

著者: 大津孝枝 ,   上枝万純 ,   宮下正人 ,   戸井洋一郎 ,   荒川謙三 ,   荒田次郎

ページ範囲:P.408 - P.410

 46歳,女性.生来,上腕,手背のびまん性腫大あり,リンパ浮腫と診断されていた.中学生時,丹毒罹患後,右前腕に不整な褐色斑出現.その後も蜂窩織炎を繰り返し,20歳頃より同部が疣状隆起,30歳後半より徐々に増大してきた.初診時,四肢は右側優位にびまん性に腫大し,様々な色素沈着病変を合併.右前腕には,脳回転状の皺襞を有する小児頭大の岩礁状隆起性病変,また頸部,項部,前胸部に表面凹凸する不整な紅褐色斑が見られた.骨X線像著変なし.岩礁状部の組織では,表皮の乳頭状増殖,脂肪腫,血管腫,リンパ管腫,線維腫が混在し,リンパ浮腫を伴っていた.1)半側肥大,2)脈管,脂肪組織,膠原線維の過誤腫,3)皮膚の脳回転状腫瘤などの存在より,本例をプロテウス症候群と診断.従来の報告に比して症状発現が緩徐で,皮膚組織の過剰発育が主体だった.

症例報告

食道狭窄をきたしたdyskeratosis congenitaの1例

著者: 嶋岡正利 ,   永井弥生 ,   田村敦志 ,   石川治 ,   宮地良樹

ページ範囲:P.412 - P.414

 24歳,男性のdyskeratosis congenitaの1例を報告した.網状色素沈着,爪形成異常,粘膜白板症様変化の3主徴の他,先天性の合指症,水疱形成,鉄欠乏性貧血,嚥下困難などの異常を経過中に認めた.嚥下困難が増強し,食道造影にて狭窄が認められたためブジー拡張術が施行され改善をみた.

C型肝炎ウイルス抗体陽性,肝細胞癌を合併した晩発性皮膚ポルフイリン症—肝動脈塞栓療法が奏効した1例

著者: 早川千絵 ,   西内徹 ,   斉藤次郎

ページ範囲:P.415 - P.418

 55歳男性で,C型肝炎ウイルス(HCV)抗体陽性,肝硬変,肝細胞癌を合併した晩発性皮膚ポルフィリン症(porphyria cutanea tarda)の1例を経験した.合併した肝細胞癌に対し,肝動脈塞栓療法(transhepaticartery embolization)を施行したところα-フェトプロテインの低下とポルフィリン代謝の改善とともに,皮疹の著明な改善を認めた.以上より肝細胞癌がuroporphyrino-gen decarboxylase活性に何らかの影響を及ぼしていると示唆された.

甲状腺機能低下症を伴った成年性浮腫性硬化症の1例

著者: 今淳 ,   野村和夫 ,   沢村大輔 ,   橋本功

ページ範囲:P.420 - P.422

 56歳,男性.甲状腺機能低下症で加療中.糖尿病はみられない.初診の4ヵ月前頃に項部から両肩にかけて板状硬結局面が出現した.局面は手拳大以上,紅色調で,中央部には更に胡桃大の皮下硬結を伴う.病理組織学的には,真皮全体の浮腫を伴った肥厚,線維芽細胞の増生を伴わない膠原線維の膨化断裂,および真皮中層から下層へのヒアルロン酸を主体としたグリコサミノグリカンとプロテオグリカンの沈着がみられた.以上の所見から成年性浮腫性硬化症と診断.ビタミンE内服とステロイド剤外用を開始し,開始後3カ月目までに板状硬結局面は平坦化した.従来,成年性浮腫性硬化症の発生誘因として甲状腺機能異常の報告はないが,グリコサミノグリカンおよびプロテオグリカンの代謝は甲状腺ホルモンおよび甲状腺刺激ホルモンの調節を受けることから,自験例における本症の発症には甲状腺機能低下が何らかの関与をしているものと考えられた.

分節状に生じた硬化性萎縮性苔癬の1例—その病理組織学的検討

著者: 佐藤典子 ,   富田靖

ページ範囲:P.424 - P.426

 62歳男性の体幹にみられた硬化性萎縮性苔癬の新旧病巣で,各々の組織像を比較し,初期に透明帯がすでに形成されていることを確認した.また自験例で皮疹は第X胸神経の皮節に分布していたが,先行する病変,外傷の既往はなく,皮膚神経が何らかの形で病理発生に関係している可能性も推察される.これに関連し,本症で神経ペプチドの関与を述べた報告があるため,いくつかの神経ペプチドに対する抗体を用い免疫組織染色を自験例について行ったが,陽性所見は得られなかった.

内視鏡で消化器病変を観察しえたアナフィラクトイド紫斑の1例

著者: 野崎重之 ,   肥後尚孝 ,   角地智加子 ,   野内俊彦

ページ範囲:P.427 - P.429

 胃および十二指腸病変を内視鏡的に観察しえたアナフィラクトイド紫斑の症例を報告する.症例は19歳女性,1週間前より咽頭痛が出現,4日前より左下肢に紫斑が出現し躯幹,四肢に拡大,腹痛,関節痛,37℃台の発熱を伴ったため入院した.腹痛を合併したアナフィラクトイド紫斑と診断しプレドニゾロン15〜25mgを投与したところ,入院5日目に腹痛は消失した.しかしその数日後に紫斑が増強したため,プレドニゾロンを30mgに増量し抗菌剤を加えたところ腹痛の再発をきたした.腹痛の原因検索のため上部消化管内視鏡検査を施行,胃と十二指腸にアナフィラクトイド紫斑に特徴的なびらんの所見を認めた.その後,腹痛は速やかに消失し紫斑も軽快傾向を認めた.アナフィラクトイド紫斑に合併する腹部症状の診断に消化管内視鏡検査は有用と思われた.

臀部慢性滑液包炎の1例

著者: 早川千絵 ,   角田寿之 ,   西内徹 ,   斉藤次郎

ページ範囲:P.431 - P.433

 臀部の滑液包から発生し,瘻孔と巨大嚢胞を形成した臀部慢性滑液包炎の1例を経験した.74歳女性.臀裂部左側に10cm大の波動のある皮下腫瘤を認めた.摘出目的にて全摘生検を施行し,病理組織学的に慢性滑液包炎と診断した.皮膚科領域においては稀な症例であるが,同部位の嚢腫状の腫瘤を認めた際には,このような疾患を念頭において治療をする必要があると思われた.

口腔および上部食道に限局した増殖性天疱瘡の1例

著者: 秋元幸子 ,   石川治 ,   宮地良樹 ,   牧清人

ページ範囲:P.434 - P.436

 65歳,男性の口腔から上部食道に限局した増殖性天疱瘡を報告した.上記広範囲粘膜に増殖局面および糜爛を認めたが,皮膚には病変を欠いていた.舌は腫大し凹凸不整でいわゆる脳回転状舌に類似していた.組織所見にて基底細胞直上の裂隙形成と表皮突起の延長を認め,蛍光抗体直接法にて表皮細胞間にIgGの沈着,間接法にてIgGクラス天疱瘡抗体陽性所見を得た.口唇の病変部より黄色ブドウ球菌が培養され,また重度のう歯および歯周囲炎を伴っていたことより,病像の形成における感染症および慢性炎症の関与が推測された.抗生剤投与には反応しなかったが,その後にプレドニゾロン40mg/日を投与したところ,発疹は急速に軽快した.天疱瘡における病変の出現部位,増殖性病変の発症機序につき若干の考察を加えた.

硬毛部急性深在性白癬の1例

著者: 蜂須賀裕志 ,   楠原正洋 ,   川浪東洋 ,   笹井陽一郎

ページ範囲:P.437 - P.439

 患者は33歳男性.約10ヵ月前より陰茎の背面に瘙痒を伴う湿潤した紅斑が出現し,近医にてステロイド剤の投与を受けたが軽快増悪を繰り返していた.1ヵ月前,ステロイド剤を外用後,鼠径部,陰茎基部に皮下結節が出現した.生検組織では真皮中層に表皮類似の嚢腫様構造があり,膿瘍が認められた.残存する硬毛のPAS染色にて毛外性の菌要素が認められた.真皮内に菌要素は認めなかった.毛髪,組織片の培養にてTricho-phyton rubrumを分離した.これらの所見より硬毛部急性深在性白癬と診断した.本症は,外陰部の硬毛に生じたケルスス禿瘡または白癬菌性毛瘡というべき状態であり,ステロイド剤外用を誘因として生じると考えられる.

Hidroacanthoma simplexの2例

著者: 布袋祐子 ,   木花いづみ ,   寺木祐一 ,   栗原誠一

ページ範囲:P.440 - P.443

 症例1:58歳,男性.右大腿後面の径18×13mmの紅褐色,表面乳頭状,中央やや陥凹した弾性軟の扁平隆起性腫瘍.症例2:41歳,女性.左下腿の径8×7mmの紅色,表面乳頭状,弾性軟の扁平隆起性腫瘍.組織学的には症例1,2とも表皮内に周囲の表皮細胞と明瞭に境された腫瘍巣を多発性に認め,個々の腫瘍細胞は小型で円形の比較的均一なporoma様細胞からなっていた.腫瘍細胞巣はEMA陽性,CEA陰性で,電顕学的所見と合わせて表皮あるいは真皮内汗管由来であることが示唆された.

多発性神経鞘腫の1例

著者: 三原祐子 ,   笹岡龍次 ,   岩崎和美 ,   葉狩良孝 ,   三原基之

ページ範囲:P.445 - P.448

 体幹に3個の神経鞘腫を生じた66歳男性例を報告した.本症は他部位の腫瘍やReckling-hausen病の所見を認めず,家族歴も特記すべきことはなかった.腫瘍内に免疫組織学的に知覚に関与する種々のニューロペプチド抗原や神経関連抗原に対する陽性線維が認められ,電顕的観察にて神経の新生を思わせる神経線維の集簇を認めた.

Unilateral epidermal nevusの1例

著者: 馬場直子 ,   中嶋弘

ページ範囲:P.450 - P.452

 16歳,男児.生来,右半身の皮膚に帯状の白っぽい疣状局面があることを主訴に来院した.正中で境された右半身皮膚に,淡褐色調の扁平隆起性疣状局面が,躯幹では水平方向,四肢では長軸方向に帯状配列をとるBlaschko線に一致した分布を示していた.病理組織所見は,角質増殖症,乳頭腫症,表皮突起の延長を伴った表皮肥厚が認められ,棘層肥厚型の表皮母斑の像を示した.特異な配列を示した母斑の発生起源につき一考した.

横紋筋肉腫の発生をみた新生児脂腺母斑症候群の1例

著者: 杉内利栄子 ,   高橋和宏

ページ範囲:P.454 - P.455

 男子新生児が生後7日で当科を受診した.生直後よりの広範囲な顔面,胸部の脂腺母斑を認めた.右停留精巣が合併していた他は,眼,神経系を含め合併症状は認めなかった,4ヵ月後より右精巣部分が急速に腫大したため切除し,組織学的に横紋筋肉腫と診断した.

脂腺腺腫と基底細胞上皮腫が併発した1例

著者: 齊藤典充 ,   岩崎雅 ,   一迫玲

ページ範囲:P.456 - P.459

 81歳,女性.右外耳道の真性脂腺腺腫と,左鼻外方の基底細胞上皮腫がほぼ同時に認められた1例を報告する.右外耳道の病変は径3mm大の表面平滑な黄色の小結節であり,左鼻翼外方の病変は12×15mm大の不整形,易出血性の腫瘤であった.それぞれ単純切除.組織学的にそれぞれ成熟脂腺細胞様細胞が主体を占める脂腺腺腫,辺縁に柵状配列を認める基底細胞様細胞で構成される基底細胞上皮腫であった.

寛解期らい患者に発症した汗腺癌,肝癌の併発例

著者: 並里まさ子 ,   矢島幹久 ,   村上國男 ,   浅野伍朗 ,   小川秀興

ページ範囲:P.461 - P.464

 寛解期らい患者の頭部に発生した汗腺癌の1例を報告する.HCV陽性で肝硬変を有する.a-fetoproteinの急激な上昇とともに,頭部に腫瘤が出現し,急速に増大したため切除した.またほぼ同時に,肝右葉に腫瘍性陰影がCTにて確認された.頭部腫瘍は好塩基性細胞と明調な細胞よりなり,その特徴的な配列と抗CEA抗体による染色態度等より,malignant clear cell hidradenomaと考えた.1年経過した時点で転移巣を認めず,肝腫瘍はわずかに増大傾向を示す.患者は活動期らい病変にて汗腺を含む真皮結合織の広範な障害を受けたと考えられ,当該部皮膚にほとんど発汗を認めないが,残存する汗腺組織より腫瘍が発生したものと考えられる.

乳管分泌部へ分化を示した乳房Paget病の1例

著者: 千葉雅子 ,   赤坂俊英 ,   昆宰市

ページ範囲:P.465 - P.467

 76歳,女性の左乳房に生じた乳房Paget病の1例を報告した.乳頭および乳暈にびらんを,乳房内には浸潤性硬結を認めた.病理組織学的にPaget胞巣のほとんどのものは中心に管腔構造あるいは裂隙を有し,断頭分泌も認めるなど乳管分泌部への分化が示唆された.同様の組織所見を示す腫瘍細胞の増殖は多数の乳管内でも認められ,一部では管外性浸潤を呈していた.以上より,乳房Paget病をその分化方向により表皮内乳管,真皮内乳管および乳管分泌部に分けるならば,自験例は乳管分泌部へ分化を示し表皮に進展したと考えた.

Triple extramammary Paget's diseaseの1例

著者: 村田隆幸 ,   菊池新 ,   仲弥 ,   橋本隆 ,   西川武二

ページ範囲:P.469 - P.471

 64歳,男性に生じたtriple extramammary Paget's diseaseの1例を報告した.外陰部,左腋窩にはびらんを伴う紅色局面,右腋窩には小脱色素斑を認めた.組織学的にはいずれも胞体の明るい大型のPaget細胞が表皮内に確認され,それらはPAS染色,CEA染色で陽性を示した.本邦ではtriple extramammry Paget's diseaseの報告は我々の調べ得た限りでは31例あり,そのほとんどは両腋窩と外陰部に生じた症例で,詳細の明らかなものはいずれも男性で,平均受診年齢は70.6歳であった.

治療

塩酸ペプロマイシン動注療法を施行した顔面の有棘細胞癌

著者: 高橋和宏 ,   杉内利栄子

ページ範囲:P.473 - P.476

 浅側頭動脈カニュレーションによる塩酸ペプロマイシン(ペプレオ®)持続動注療法を施行した顔面の有棘細胞癌の2例を報告した.症例1:82歳,女性,鼻柱の2cm大の棘融解型有棘細胞癌.顔面動脈よりペプレオ®35mgを持続動注,さらに30mgを腹部に持続皮下注した結果,終了後1週間で腫瘍に縮小傾向が見られ,1.5ヵ月で瘢痕のみとなり,組織学的に腫瘍細胞の消失を確認した.治療後8ヵ月で局所再発を認め,放射線治療を施行している.症例2:61歳,女性,下口唇の疣贅状有棘細胞癌.ペプレオ®35mg持続動注し,終了後2週間で腫瘍は扁平化,3ヵ月の時点で組織学的に腫瘍細胞の消失を確認した.顔面の有棘細胞癌の治療には外科的切除が第一選択と考えるが,サイズの大きなもの,侵襲の強いものには術前治療として,まず試みてよい治療であり手術による醜形を軽減できると考える.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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