icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科50巻6号

1996年05月発行

文献概要

症例報告

口腔および上部食道に限局した増殖性天疱瘡の1例

著者: 秋元幸子1 石川治1 宮地良樹1 牧清人2

所属機関: 1群馬大学医学部皮膚科学教室 2前橋赤十字病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.434 - P.436

文献購入ページに移動
 65歳,男性の口腔から上部食道に限局した増殖性天疱瘡を報告した.上記広範囲粘膜に増殖局面および糜爛を認めたが,皮膚には病変を欠いていた.舌は腫大し凹凸不整でいわゆる脳回転状舌に類似していた.組織所見にて基底細胞直上の裂隙形成と表皮突起の延長を認め,蛍光抗体直接法にて表皮細胞間にIgGの沈着,間接法にてIgGクラス天疱瘡抗体陽性所見を得た.口唇の病変部より黄色ブドウ球菌が培養され,また重度のう歯および歯周囲炎を伴っていたことより,病像の形成における感染症および慢性炎症の関与が推測された.抗生剤投与には反応しなかったが,その後にプレドニゾロン40mg/日を投与したところ,発疹は急速に軽快した.天疱瘡における病変の出現部位,増殖性病変の発症機序につき若干の考察を加えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?